最新記事

株の基礎知識

野球選手の年俸で考える「安い株」「高い株」の見分け方

2022年5月31日(火)17時00分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載
野球

AlbertoChagas-iStock.

<株が「安い」「高くて買えない」というのは、どういう基準で判断したらよいのか。株価収益率(PER)で分かる本当に価値のある銘柄は。成長率とリスクはどちらがより重要か>

「その株に対して、いくらまで払えるか」

「株は売り時が難しい」とよく言われますが、安く買っていれば、売り時に悩むことは少なくなります。損切りする確率が下がるからです。結局のところ、高いときに買ってしまうから、利益を出すのが難しくなるのです。

ここで「バリュエーション」の登場です。「バリュエーション」とは、「その株に対して、いくらまで払えるか」という尺度を表したものです。

ところで、「あの株は安い」とか「あの株は高くて買えない」というのは、どういう「基準」で判断したらよいのでしょうか。

高い年俸を払ってもよい選手とは?

話をわかりやすくするために、ここで、話題を少し変えます。仮に、あなたがプロ野球の球団のオーナーだとします。あなたが高い年俸を払ってもよい選手とはどんな選手ですか? あなたはどんな基準で年俸を決めますか?

■【問題その1】

Aという選手の過去3年間の打率はそれぞれ、2割6分、2割8分、そして、3割でした。平均で2割8分です。一方、Bという選手の過去3年間の打率はそれぞれ、2割8分、3割、そして、3割2分でした。平均で3割です。

どちらの年俸が高くなりますか?

・A選手:.260→.280→.300(平均.280)
・B選手:.280→.300→.320(平均.300)

[解答]
他の条件が同じであれば、B選手の年棒が高くなります。これはわかりますよね。B選手の平均の打率が高いですから。

■【問題その2】

Cという選手の過去3年間の打率がそれぞれ、2割5分、3割5分、そして、3割でした。平均で3割です。これに対して、Dという選手の過去3年間の打率はそれぞれ2割9分、3割1分、そして、3割でした。平均で3割です。

どちらの年俸が高くなりますか?

・C選手:.250→.350→.300(平均.300)
・D選手:.290→.310→.300(平均.300)

[解答]
他の条件が同じであれば、D選手の年俸のほうが高くなります。両選手とも過去3年間の平均打率は3割で差がありません。では、どこが違うのでしょうか?

それは「安定性」です。C選手は打率に大きな波があるのに対して、D選手は過去3年間、安定して3割前後を出しています。D選手は、いわゆる「計算できる選手」と言えます。

こうして見ると、「安定」して「高い」打率を残した選手の年俸は高くなることがわかります。株の世界もこれと同じです。どんな株だったら、高いお金、つまり高いバリュエーションの価値があるかを考えてみましょう。

(参考記事)割安・割高を見るだけじゃない、PERの"正しい"使い方

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中