最新記事

株の基礎知識

勝てる投資家は「悲観で買う」 その極意を解説

2022年2月10日(木)06時50分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

■企業は問題を抱えている

どんな企業も問題を抱えています。それが、市場にどれほど知られ、どれほど深刻なものか、という点が異なるだけです。

短絡的な投資家は、短期予想の変化に慌てふためきます。そのため、企業にとって一時的と思われる問題が、絶好の投資チャンスに結び付くことが非常に多いです。企業の短期的なぶれはしょっちゅう起きるものです。

基本的にバーゲンハンターは、問題のあることが株式市場に知れわたった銘柄を買おうと試みます。企業の一時的問題から生じた市場の大きな過剰反応を利益に結び付けるのは、バーゲンハンターにとって基本的な戦略です。見通しが悪いほど、それが変わったときのリターンも大きくなります。

多くの企業について、その問題を評価・分析する経験を積み重ねれば、小さな問題と大きな問題の違いがわかるようになり、企業が直面した小さな問題に株式市場が過剰反応する局面を巧みに利用できるようになります。

非常に多くの投資家が、短期的なアンダーパフォーマンスを理由に最悪のタイミングで投資対象を処分してしまいます。自分の投資について慎重となるべきときは、最大の誤りを犯したときではなく、最大の成功を収めたときなのです。

落ちてくるナイフを手で掴む

バーゲンハンターは、下落している株を買うことになります。投資家心理の変化は急激であり、株価が底を打って急反発してしまえば、リターンの大半を取り逃がす結果となってしまいます。一般大衆のあとをついていったのでは、一般大衆と同じ成果しか手にできません。

成功の確率を高めるためには、企業の長期的収益見通しや長期的収益力を基準として割安な銘柄を仕込むことです。大幅に売り込まれ、人気がなくなり、市場に誤解されている銘柄こそ、成功の確率が高くなります。

●競争優位性はあるか

遠い将来に向けた企業の見通しに照準を合わせる場合、市場における企業の競争的地位を考える必要があります。企業が長期にわたり収益力を維持するには、競争優位性が不可欠です。

他の企業が真似できない競争優位性を備えていれば期待が持てます。生産コストが他社よりも低く、優れたブランドを持ち、品質に定評があるために販売価格を高く設定できる企業であれば、将来にわたって高い利益率を維持できるという予想に対する確信が深まります。

●バブルと正しい大局観

人々は通常、新しい産業に過大の評価をするものです。下振れリスクをほとんど無視した楽観論が横行します。インターネットバブルの崩壊も、その好例です。短期間にあまりに多くの好材料を織り込み、株価はどんでもないバリュエーションまで膨れ上がりました。

そうして市場が熱にうなされて売り一色になったとき、最大の買い場がやってきます。バーゲン株はお宝ポジションになるでしょう。状況が最も暗く見えるときに買いにいく決断ができれば、株式市場で優位な地位に立てます。

●ボラティリティーはお友達

バーゲン株を買うときは、ボラティリティーが最も強力な味方になります。ボラティリティーが大きければ、バーゲン株を見つける機会がそれだけ多くなります。企業価値とその株価のずれが生じる最大の投資機会は、市場に悲観論があふれているときに訪れることが多いのです。

市場のボラティリティーに翻弄されるのではなく、それを利用する立場に立つことが重要です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米マイクロソフト、3%人員削減へ AI以外でコスト

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、CPI伸び鈍化もインフレ見

ワールド

サウジ、米に6000億ドル投資確約 トランプ氏訪問

ワールド

トランプ氏、対シリア制裁解除へ 暫定大統領との面会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中