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中2で起業、高1で母校を買収した女性起業家が考える理想の教育とは

起業家の友人たちと比べて焦りを感じていた時期もある

ピョートル ご自身のポリシーとは? そのポリシーに反するものをどう見極めるのでしょう。

仁禮 私現在、2つの会社を経営していますが、共通するポリシーは、人類の生きるプロセスに貢献できるもの、自分が心から共感できるもの、かつ今後の自分に役立つ学びがあるものという観点で仕事をすること、です。TimeLeap社は自分の人生を生きる力を育む教育のコンテンツを、小中高生を中心とした若い世代に提供、ERRORs社では、生きる時間をどうデザインするかに関して教育以外の方法を試しています。

ここに行き着くまで、起業家の友人たちが、スケールを追求する事業で成功したり、数字を伸ばしたり、実績を出したりするのを見て、焦りを感じたこともあるし、その時は「教育はなかなか成果が出ないし、届けるのも難しい。今まで考えてきたものとは全く別の事業をやろうかな」と思って事業のアイデアなどを考え始めたのですが、気づくと「これは本質的に人類のためになるんだっけ?」というところにたどり着いてしまう。

このアイデアは楽しそうではあるし、喜んでくれる人はいそうだけど、人生にどれだけ作用するかというレベルで考えた時に物足りなさを感じてしまって、この先自分がこれに取り組み続けるイメージが全然見えない。わかりやすく言えば、私がピョートルさんにこの新規事業案について話をしても、賛同を得られる自信がない。それは心の底からやりたいと思っているわけではないからです。そういうことは自分がやるべきではない。そう考えています。

死を身近に感じる経験をして「時間は有限である」と考えるようになった

ピョートル 自身の成長とともに、ポリシーに基づいた価値観や信念は変化しましたか。

仁禮 私世界的な新型コロナウイルスの蔓延で、「死に直面するもの」が人類全体に降り注いできたことで、特に若い世代に「人生は限られているな」「いつ死ぬかわからないな」という価値観が植えつけられた印象があります。

死というものに直面する経験をした人は、そういう価値観を持ちやすい。私が大事にしている価値観の一つが、まさに「時間は有限である」ということですが、私も子どもの頃、死を身近に感じる経験をしました。有限性を理解して建設的に受け入れられると、その限られた時間をどう使うかに意識が向くようになります。私自身も、自分の成長と外部要因が重なって、最近さらにその意識が高まっていると思うし、全体的にそういう傾向があることを興味深く感じています。

ピョートル 資本主義社会の子どもたちは、パイロットや税理士になるために資格を取ること、会社に入るために大学に行くことをゴールとする仕組みの中でがんばっています。こうした教育の現状と、仁禮さんの理想の教育との溝とは、どういうものなのでしょう。

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