最新記事

株の基礎知識

一流の投資家は「いつ」株を買っているか アノマリーを検証する

2021年11月8日(月)10時45分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

Sergey_P-iStock.

<相場にはある種のパターンや季節性、経験則がある。その「アノマリー」を「胡散臭い」と思っている人も多いかもしれないが、長年にわたって相場を生き抜いてきた投資家は「自分が間違っていた」と言う>

相場の季節性と周期性

「歴史は繰り返す」と言われるように、相場にはある種のパターンや季節性が存在します。

歴史が決して全く同じではないのと同じく、完全に正確に過去のパターンに従うことはありませんが、パターンを頭に入れておけば、いつそれを意識すべきかを知ることができ、パフォーマンスの改善に結びつきます。

アメリカ市場の「アノマリー」から、相場の季節性と周期性について考えます。

■株を買う絶好の季節

昔は農業が株価を動かす大きな要因でした。そのため8月は相場にとって最高の月でしたが、現在では最悪の月のひとつになっています。また、9月に入ると人々は学校や仕事に戻り、ファンドマネージャーは第3四半期の決算対策にポートフォリオの株を処分売りするため、9月は平均して1年で最悪の月になります。

このように他の月よりも株価が大幅に安くなりやすい8~10月は、新規に買いポジションを取るか、持ち株を買い増すのに絶好の機会です。

一方、第4四半期はクリスマスショッピングで個人消費が増え、年末のボーナスが市場に流れ込むことに加えて、機関投資家がその年度の業績を良くしようと努力することで、相場は上昇する傾向が見られます。その後、新年に入っても、楽観的な見通しや前向きな気分が支配的になって、市場の好調さは維持されます。

こうした特性のおかげで、11~4月は投資家にとって最高の6か月になります。相場の上昇のほとんどが晩夏から初秋にかけて始まり、冬から春にかけて終わりを告げます。

12か月の相場パターン──最高と最悪の転換点を知る

相場の季節性は「自然」と強いつながりがあると思われます。つまり、文化的な行動の反映と言えます。

■8月は閑散

20世紀前半には、収穫の売上で得たお金が市場に入ってきたおかげで、8月は株式市場にとって素晴らしい月でした。1900年には、人口の4割近くが農業に従事していましたが、現在では、農業人口は2%にも満たないので、8月は1年で最も悪いパファーマンスの月のひとつになっています。

特にアメリカやヨーロッパでは8月は休暇を取る人が多く、取引所も閑散としています。

■9月は最悪

9月は1年で最悪の月と言われています。9月の相場は高く始まる傾向がありますが、夏が終わり、子供たちが学校に戻ってくるとともに、ファンドマネージャーが第3四半期末近くに株の処分売りを行う傾向があります。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中