株価が「10倍」になる株に出合う、たったひとつの方法
トヨタ自動車の時価総額は約33兆円(2021年9月13日時点)。2位以下を大きく引き離して、「日本でいちばん大きい企業」の地位を確固たるものにしています。
それに対して、アップルの時価総額は約2.5兆ドル(同9月10日時点)。日本円に換算すると、約275兆円です。
●トヨタ自動車......約32兆円
●アップル............約275兆円(約2.5兆ドル)
こうして時価総額で比較してみれば一目瞭然。「アップルのほうが圧倒的に大きい」ことがすぐにわかります。
■同業他社との比較も簡単できる
また、時価総額という物差しを用いることで、同じ業界内の比較も簡単にできます。
例えば商社株。2020年6月には、常に業界トップだった三菱商事<8058>の時価総額を、ついに伊藤忠商事<8001>が抜いて首位に躍り出たことがメディアで大きく取り上げられました。
これは、商社の主な収益源である資源価格が下落する中、生活関連ビジネスに強いとされる伊藤忠商事に対する投資家の評価が、他社と比べて高くなったからです。それによって株価が伸び、それをもとに算出される時価総額も増したのです。
このように、同業種内でなぜ時価総額の差が出たのかを考えることで、企業や業界への理解をより深めることもできるようになります。
なお、時価総額のデータは、ヤフーファイナンスなどの情報サイトでリアルタイムの株価変動にあわせて更新されていますので、いちいち計算する必要はありませんよ。
(参照)時価総額上位:株式ランキング - Yahoo!ファイナンス
時価総額でテンバガーを見つける
時価総額を用いることで企業を比較できることはわかりました。では、どうすれば冒頭のベテラン投資家のように「テンバガー」を見つけられるのでしょうか? 10倍とまではいかなくても、株価が2倍3倍と成長する株を見つけるには、時価総額をどう使えばいいのでしょうか?
それを考えるには、時価総額というものについて、もう少し深掘り必要があります(以下、時価総額はすべて2021年9月13日現在)。
■テンバガーになりやすいのはどんな株か
例えば、時価総額1兆円のA社と時価総額100億円のB社があるとします。どちらの株が10倍になりやすいと思いますか?
●A社=時価総額1兆円
●B社=時価総額100億円
これらの企業がテンバガー(10倍株)になるということは、A社であれば、1兆円の10倍で時価総額が10兆円になることを意味します。
時価総額が1兆円の企業とは、日本航空<9201>や三菱重工業<7011>の規模に相当します。そんな大会社が、これからさらに売上や利益を大きく伸ばして10倍もの成長を遂げるのは、かなりハードルが高いことがわかるはずです。
ちなみに、現在の日本で時価総額が10兆円を超えているのは、わずか6社しかありません。すでに登場したトヨタ自動車とソニーグループのほかには、キーエンス<6861>、NTTこと日本電信電話<9432>、ソフトバンクグループ<9984>、そして、リクルートホールディングス<6098>です。