最新記事

株の基礎知識

テスラに見る株式市場の先見性、知っておくべき歴史の教訓

2021年4月12日(月)16時45分
鳳ナオミ ※株の窓口より転載
テスラ

DKart-iStock.

<日本の時代があり、中国の時代があり、今はGAFAが時価総額の上位を独占している。このアメリカ企業の時代において、テスラは単なる「世界一の電気自動車メーカー」ではない>

規制により加速する自動車の電動化

2020年9月、米カリフォルニア州は2035年までにガソリン車の新車販売を禁止して完全に電気自動車へ移行し、州内のCO2排出量を35%削減する、という声明を出しました。

全米最大の経済規模と人口を持つカリフォルニアは、歴史的に見ても世界の自動車規制に長年大きな影響を与えてきた州ですので、これによって自動車の電動化が加速することは想像に難くないでしょう。テスラ<TSLA>にとっては、自動車部門の拡大に拍車がかかる動きといえそうです。

(参考記事)時価総額がトヨタの4倍。日本株にも影響するテスラの本当の凄さとは

テスラに見る株式市場の先見性

世界一の電気自動車メーカーであるテスラは電気自動車を開発するにあたり、様々な企業との協業により先進的な技術を搭載した車を製造していますが、実は徐々に内製化を進め、その技術力を内部にため込んでいます。

キーテクノロジーとされる電池や半導体システムなどについては、日本のパナソニック<6752>や米エヌビディア<NVDA>等と提携する一方で、自社開発につなげる動きも速めています。今後は提携している会社との関係も解消し、徐々に内製化の比率が高まっていくだろうと想定されています。

特に電池については、自動車用途に留まらず、石油に代わるエネルギー源としての開発を進めており、自動車とは異なる分野に進出する準備をしています。

すでに、エネルギービジネスへの足掛かりとして、カリフォルニア州電力会社との協業、オーストラリアでの蓄電池電力供給システムなど、エネルギーマーマットへの参入を試みています。アメリカだけでも40兆円ビジネスと言われるエネルギー分野だけに、その動向からは目を離せなくなっています。

このように、自動車のみならずエネルギー産業に対しても先手先手を打つことで、テスラがそのポジションをさらに上げていく可能性は高いといえます。すべてが実現するかどうかわからない話ではありますが、今の時代背景が、上昇を続けるテスラの株価にも表れていると言えるかもしれません。

kabumado20210412tesla2-chart1.png

株式市場の主役は20年で変わる

世界経済の動向を端的に見るうえでは、株式市場の存在は無視できません。企業の時価総額(株価×発行済み株式総数)はその会社の持つ企業価値といえますが、その変遷を見ることで世界経済の歴史がわかり、振り返ることで世界の企業の主役が理解できるのです。

時価総額のランキングで見ると、2021年1月22日時点での世界トップ5は、アップル(23,030億ドル)、サウジアラムコ(20,400億ドル)、マイクロソフト(17,010億ドル)、アマゾン・ドット・コム(16,590億ドル)、アルファベット(12,770億ドル)。そして、テスラは7位(8,010億ドル)です。

ちなみに、日本市場のトップであるトヨタ自動車<7203>は47位(2,087億ドル)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 中間選挙にらみ

ワールド

米テキサス州洪水の死者32人に、子ども14人犠牲 

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中