最新記事

株の基礎知識

株式投資にも「保険」という概念が存在する

2021年1月16日(土)11時50分
鳳ナオミ ※株の窓口より転載

Gajus-iStock.

<投資をするときは「リスクヘッジ」を必ずやるべき。基本となる3つのリスクヘッジ手法とは?>

株のための保険を知っていますか?

保険といえば、様々な種類がありますね。身近なものでは自動車保険や生命保険でしょうか。その他、火災保険、学資保険、介護保険、医療保険など、数えればきりがありません。実は、株式投資にも「保険」という概念が存在します。それが「リスクヘッジ」です。

自動車の運転では「万が一」の事故を想定した保険に入りますし、一家の大黒柱に「万が一」のことがあった場合に備えて生命保険や医療保険に入るのと同様に、株式投資でも、「万が一」というほどではなくとも想定外のことが起こって大きな損失を被るのを回避するために、様々な「リスクヘッジ」をすることができます。

例えば、輸出比率の高いA社の成長性に着目して長期的な視点で株を保有したものの、経済が不況に陥って、市場全体の株価が下落、同業他社が倒産してA社にも悪影響が及んだ......。あるいは、為替が急激に円高になり、業績が大幅に悪化......などのケースが考えられます。

この場合、もともと長期保有を目的としていたため株を手放さなかったことで、株価の大幅な下落によって損失が生じてしまうでしょう。自動車でいえば、事故を起こした(起こされた)ために、大きな損害が発生したのと同じです。

もちろん、株式投資のスタイルは様々なので、いつでもリスクヘッジをしなければならないというわけではありません。ですが、大切な資産を運用するのが株式投資だと考えれば、リスクヘッジも投資の一種だと考えて併用することで、保険としての役割を持たせることができるのです。

そもそも株式投資のリスクとは

ところで、「リスク=損失」と考える人がいますが、基本的には異なります。株式投資におけるリスクとは、「予測と実際のズレ・ブレの度合い」を表します。

一定のリスクを抱えた状態で、期待したことが実現して利益を享受すれば「プラスのリターン」、逆のことが起きて損失を被れば「マイナスのリターン」となります。つまり、どこまでのリスクを許容してリターンを獲得するか、ということです。したがって、予測(期待)が当たったのか外れたのかは、リスクとは異なる概念です。

予測が当たればリスク並みのリターンが得られ、外れればリスク並みの損失を被ることになります(数学的にはリターン度合い≒リスク度合い)。言い換えると、予想以上に損失を被った/予想以上の利益を獲得したということは、それは予想以上のリスクをとったことを意味するのです。

株式投資では、自分自身でリスクをコントロールしながらリターンを追い求めることが重要です。ギャンブルでない限りリスクはコントロールできますので、適度なリターン(=適度なリスク)を求めれば、だれでも資産運用ができるわけです。

transaction_accounts_superbanner.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中