株を始めるなら知っておきたい、「投資」と「トレード」の違い
投資とトレードでは活用する情報が異なる
投資とトレード、どちらを選択するかで必要となるスキルや心構え、取り入れるべき情報は異なる。それにもかかわらず、それぞれの情報を混合して取り入れてしまっている人が少なくない。
投資に興味があれば、世界的投資家であるウォーレン・バフェット氏の名前を聞いたことがあるだろう。彼の投資哲学には、「自分が理解できる事業内容であること」「長期的に成長が見込めること」「よい企業を安く買うこと」などがある。
これをトレードの運用スタイルを採る人が活用しようとして、「PER(株価収益率)が低いからこの株はお得だ!」「下落してしまったけど、この会社は将来性があるからまだ持っておこう」と考え始めると失敗してしまう。
逆に、投資をしている人が日々の株価の変動に慌てふためくのも間違いのもとだ。
注意すべきは、長期=投資、短期=トレードではないということ。あくまで、資金を投じるための焦点が何に向いているのかが基準となる。
投資は「目利き」、トレードは「精神力」
投資とトレードの大きな違いは、資金を投じる判断基準が「企業の今後の成長」にあるか、「株価の動き」にあるかだ。
投資の場合、企業の財務状況や業績、業界の将来性などを分析し、今後株価が上がる潜在的な能力があるかどうかを見極める必要がある。何より重要なのは「目利き」だ。
「ひふみ投信」の運用で知られるレオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長の藤野英人氏も、長期投資を勧める1人。
「その会社は私たちの生活を快適で楽しい物にすることに貢献をしているか。10年後、20年後にも必要であり続けるか。その会社ならではの強みがあるか。進化し続けるDNAがあるか。高い理想に基づく明確なビジョンがあるか――。これらが『いい会社』を選ぶための、チェックポイントです」(藤野氏の著書『お金を話そう。』より)
短期的な株価の変動を気にする必要はないが、企業や業界の動向には常に目を光らせなくてはならない。
一方、トレードには株価を動かす要因である市場参加者の心理と、過去から現在までの株価チャートのパターンを分析し、売買のタイミングを見極めることが求められる。
短期で利益を出すには値動きの激しい銘柄で勝負しなければならず、それだけリスクも高い。だが、現役トレーダーで、オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」の講師を務める窪田剛氏によれば、トレードならではの利点もある。
「投資に比べて売買のスパンが短いので、失敗を挽回し、利益を上げるチャンスが、年に何度もあります」(窪田氏の著書『株の学校』より)
言い換えれば、ある程度の負けを前提として平常心を保ち、虎視眈々とチャンスを狙う「精神力」がトレーダーには不可欠と言えそうだ。