最新記事

株の基礎知識

コロナで高値更新の意外な3銘柄 買うべきか、買わざるべきか?

2020年7月9日(木)06時45分
佐々木達也 ※株の窓口より転載

その際に活用したいのが株式情報サイトです。もちろん、知っている銘柄をひとつひとつウォッチすることもできますが、東証に上場している銘柄は、マザーズやJASDAQなどの新興市場を合わせるとおよそ3,700銘柄。とても現実的とは言えません。

例えばヤフーファイナンスは、株式ページのランキング項目として年初来高値を設けています(上場来を含む)。また日本経済新聞電子版では、マーケットのページの株式項目に新高値銘柄の一覧を掲載しています。

■高値更新の〝出遅れ銘柄〟を狙え

これら高値更新銘柄の情報は、市場の動向を探る重要な手がかりとなります。そこからさらに、「これから高値更新しそうな銘柄」を見つけることもできるかもしれません。

例えば、FA(工場自動化)関連の銘柄が次々と高値を更新しているのであれば、「同じFA関連の〝出遅れ銘柄〟が次に買われるのではないか」と連想できます。そこで関連銘柄を探し、まだ高値更新に至っていない銘柄の目星がついたら一歩踏み込み、「なぜその銘柄が出遅れているのか?」を考えてみます。

例えば、工場で使われるロボットや精密な制御装置を手掛けるFA業界の大手、ファナック<6954>。株価は相場全体につれ高して6月上旬に20,000円を回復したものの、先に挙げたキーエンスなどが上場来高値を更新する中、2018年1月の高値33,450円に比べると出遅れています。

kabumado20200709covidstocks-chart4C.png

要因としてはさまざまなことが考えられますが、同社の顧客は自動車業界の比率が高いことから、「自動車市況の落ち込みが下押し要因になっているのではないか」という仮説を立てられます。もし自動車市況が今後回復すると考えるなら、ファナックを買いの検討リストに入れることができるでしょう。

あえて高値を掴みにいく

高値更新銘柄への投資は、トレンドに合わせた「順張り」です。特に上場来高値の更新は、それ以上の値で買っている投資家がいないわけですから、売りも出にくいという安心感があるうえ、短期の順張りトレーダーによる買いも期待できるため、思わぬ上昇となることがあります。

しかし、あくまで高値圏での取引となりますので、高値掴みのリスクがあることは常に意識しておいたほうがいいでしょう。今日、上場来高値を更新したからといって、この先も必ず上昇していく根拠にはなりません。特に相場に過熱感が見られる局面では慎重な対応が必要になります。

それでも、高値更新はそれ自体が買い材料となるため、本来すべての投資家にとって魅力的に見えるはずです。しっかりとリスクを管理しながら高値を掴みにいくことができれば、そこには新たな世界への扉が待っているかもしれません。

2020/06/24

【関連記事】安定的に稼ぎ続けるトレーダーは、圧倒的に負け方が上手い

[執筆者]
佐々木達也(ささき・たつや)
金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

202006NWcovid19Mook_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

SPECIAL ISSUE「COVID-19のすべて」が好評発売中。ゼロから分かるCOVID-19解説/歴史に学ぶ感染症の脅威/ポスト・パンデミックの世界経済......。錯綜する情報に振り回されないため、知っておくべき新型コロナウイルスの基礎知識をまとめた1冊です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ」が物議...SNSで賛否続出
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 8
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 9
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 10
    高市首相の「台湾有事」発言、経済への本当の影響度.…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中