最新記事

株の基礎知識

日本株が「割安」な理由を2つの側面から考える

2020年1月27日(月)11時00分
佐々木達也 ※株の窓口より転載

●日本株が買われにくい背景

IMF(国際通貨基金)は10月に発表した世界経済見通しで、世界経済の成長予測を3.0%に下方修正しました。背景としては、米中を中心とした貿易摩擦の激化や、イギリスの合意なきEU離脱に対する懸念などが挙げられており、依然として下振れリスクが強いとしています。

一方で、失業率が歴史的な低水準となっているアメリカは、内需主導でゆるやかに拡大する経済環境が続いています。

そんな中で日本では、消費税増税もあり、全体として内需の伸び悩みが続いています。一部には業績好調な企業があるものの、日本株全体で見ると、世界景気の変動による輸出企業の業績の上振れ下振れの影響を受けやすい構造になっています。

こうしたことから、世界の景気の先行きが警戒される局面では日本株は買われにくくなっています。

■日本企業は資本効率が低い

日本株が割安な理由の2つ目には、欧米に比べて日本企業の資本効率が低いことが挙げられます。

企業の資本効率を示す指標にROE(自己資本利益率)があります。これは、企業の利益を株主のお金である自己資本で割って算出します。例えば、自己資本が100億円で純利益が8億円の企業のROEは8%となります。

ROEの数値が高いことは、株主のお金を効率的に使って利益をあげている、ということを意味します。株主からすれば、広い意味では出資したお金に対しての利回りとなるため、ROEが高いほうが魅力的な投資先だと言うこともできます。

そんなROEですが、日本株の平均がおよそ8〜9%であるのに対して、欧米の主要企業では10〜20%となっており、大きな差がついています。

●攻めより守りの日本型経営

なぜこのようにROEの差がついているのでしょうか? いくつかの理由が考えられますが、日本企業ではこれまで資本の効率性について意見されることがほとんどなかった、というのも理由の1つです。

旧来、日本では企業同士による株の持ち合いや銀行による株式取得が多く、そのため、株主から資本効率を問われるようなことはありませんでした。つまり、いわゆる「モノ言う株主」の比率が少なかったということです。

また、欧米企業の経営者は、経営のプロとして迎え入れられており、高額の報酬と引き換えに、結果が出なければドライに契約を切られる関係です。一方、日本企業では、新卒で入社して社内で出世を続けて最終的に社長になる......といったサラリーマン型の経営者も多いです。

サラリーマン経営者からすると、リスクを取って投資を行い利益を伸ばしにいくよりも、利益が出ても内部留保を多めにして、冒険をせずに任期を無事に勤めあげたほうが生涯賃金が高くなることが多いため、攻める経営よりも守りを重視した経営になりやすいのです。

ただし、このような流れも昨今ではかなり変わりつつあります。メガバンクや企業同士による株式の持ち合いは、資本の有効活用を求める株主の圧力により解消の方向に向かっています。また、外国人持ち株比率も上がり、株主の発言力は以前と比べて強くなってきています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、イラン戦争の目標達成に近づく=トランプ氏

ワールド

イラク、外国企業運営の油田で不可抗力宣言 ホルムズ

ワールド

英、米軍による基地使用承認 ホルムズ海峡攻撃巡り 

ビジネス

米国株式市場=大幅続落、中東緊迫の長期化がインフレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 9
    将来のアルツハイマー病を予言する「4種の先行疾患」…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中