サウジ石油施設攻撃などの地政学的リスクは株価にどう影響するか
アナリストのひとり言
ここでは、地政学的リスクに関連した出来事への「事後的」な対応について解説した。「どうして事後的な対応なのだ。事前に何らかの対処をすればもっとリターンが得られるのではないか」と思う人もいるだろう。
しかし、事前にできることは意外と少ない。まず、予想することは非常に困難だ。当たり前だが、いつ、どの国・どの地域で、どのような事態が発生するかを予想するのは、不可能といっていいだろう。
では、具体的な準備としてできることには、どんなことがあるか。
ひとつはリスクヘッジだ。何かが起こったときに損失を被るのは怖い、というのであれば、保有している銘柄の「プットオプション」を併せて買っておくことができる。平たく言えば、あらかじめ決められた価格で株式を売ることができる権利だ。これにより、株価が下落したときの損失を抑えることができる。
もうひとつは、「リスク回避のために"臭い銘柄"には手を出さない」ことが挙げられる。今回の例でいえば石油関連銘柄だ。
原油相場は中東情勢に大きく影響を受ける。その中東は長らく緊迫した関係が続いている。そうした前提知識のもと、何かが起こったときに影響を受けそうな銘柄はそもそも避ける、という選択肢もあり得るだろう。
このように、地政学的リスクに対して個人投資家ができるのは、何が起こるかを予想することよりも、何か起こったときの損失を回避できるような策を打っておくことになる。事後的な対応とあわせて、リスクへの向き合い方を改めて考えてみてほしい。
[執筆者]
星野涼太(ほしの・りょうた)
外資系投資顧問会社で株式アナリストとして勤めておりました。市場で注目度の高いトピックを取り上げ、深く、そして、わかりやすく説明することで、読者の皆様がより堅実・効率的な株式投資を実践できるよう貢献したいと思っております。
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