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サウジ石油施設攻撃などの地政学的リスクは株価にどう影響するか

2019年12月5日(木)11時55分
星野涼太 ※株の窓口より転載

攻撃を受けたサウジアラムコの石油施設(2019年9月20日) Hamad l Mohammed- REUTERS

<投資家にとって大切なのは「その材料が利益の増加にどれだけ長期的に寄与するか」を考えること。地政学的リスクとの上手な付き合い方とは>

地政学的リスクを投資に活かすには

新聞やニュースサイトで多く見かける「地政学的リスク」というワード。テーマの領域が非常に広いことから、具体的にどのようなリスクなのかいまいちイメージできない投資家は多いことだろう。

■地政学的リスクとは

野村証券では地政学的リスクを、以下のように定義している。


ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係により、その特定地域の経済、もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのこと。 地政学的リスクが高まれば、地域紛争やテロへの懸念などにより、原油価格など商品市況の高騰、為替通貨の乱高下を招き、企業の投資活動や個人の消費者心理に悪影響を与える可能性がある。 (野村證券ホームページより)

近年の政治的・軍事的な緊張をいくつか挙げると、

・米中間の貿易摩擦
・サウジアラビアとイランの政治的対立
・北朝鮮におけるミサイル発射
・香港における政府への抗議デモ

など、世界各地で地政学的リスクに関連した出来事が発生している。

■サウジアラビア石油施設への攻撃

ここでひとつ、上記の例からサウジアラビアとイランの政治的対立を取り上げる。

2019年9月中旬、サウジアラビアにある国有石油会社サウジアラムコの石油生産プラントがドローンによって攻撃された。施設では火災が発生し、直後には石油生産能力の約半分が失われた。その後、復旧作業が進み、10月下旬の時点で、石油生産量は攻撃前の水準に回復したと報じられた。

これに関しては、イエメンのフーシ派が攻撃声明を発表したが、アメリカはサウジアラビアとイランの対立が背景にあるとの見解を示した。

ただし他国は考えが異なっているため、厳密にいえば「サウジアラビアとイランの政治的対立」といい切れない出来事ではあるが、「国際情勢に影響されて石油生産量が一時的に低下した」という点を重要な軸として、株式投資と結びつけて考えてみたい。

中東情勢が日本の株価に与える影響

サウジアラビア石油施設攻撃を受けて、株式市場ではどのようなことが起こったのか。広く見れば、国際情勢悪化に伴って投資家心理が冷やされ、日米欧でマーケット全体にネガティブに作用したとみえる。

しかし、注目すべきは「石油関連銘柄」の値動きだった。日本市場でいえば、石油関連銘柄の代表は鉱業セクターの国際石油開発帝石<1605>、石油・石炭製品のJXTGホールディングス<5020>、出光興産<5019>、コスモエネルギーホールディングス<5021>が挙げられる。

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