世界的潮流「ESG投資」とは何か、「なでしこ銘柄」は儲かるか
ESG投資という大きな流れ
「なでしこ銘柄」が注目されるようになった理由として、「ESG投資」という世界的な潮流があります。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとったもので、これらに配慮した取り組みを積極的に行っている企業に投資する「ESG投資」は、ヨーロッパの機関投資家を中心に急速に普及し、投資の基準のひとつとなっています。
世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人もESG投資に本格的に乗り出し、また、経済産業省がESG重視企業を機関投資家に紹介する新制度も始まります。
こうした流れからも、「なでしこ銘柄」は今後さらに注目されることが予想されます。
なでしこに手を出す前に......
国と東証のお墨付きで、株価のパフォーマンスも業績も良く、しかも今後の潮流にも乗っているとなれば、当然「これは買いだ!」と思えてきます。
しかし、2000年代には社会貢献している銘柄に投資する「SRI投資」が流行りましたが、良好なパフォーマンスを出すことができませんでした。社会的に良いとされる会社が高いパフォーマンスを生むとは限らないのが株式市場なのです。
なでしこ48社の指数がTOPIXを上回っているとはいえ、あくまでも「ポジティブ」程度だということも、しっかり認識しておく必要があります。それに、個別の企業ごとに見てみれば、株価も業績も、違った結果が出てくるかもしれません。
社会貢献をしているからといって、業績の拡大や企業価値の増大が期待できるかというと、そこに論理的な根拠はありません。
「なでしこ銘柄」は、あくまで「女性活躍」というテーマから選定された銘柄です。それに個々の企業分析をプラスして総合的に判断することが肝要なのです。
[筆者]
岡田禎子[おかだ・さちこ]
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。現在テレビ東京系で放送中のドラマ「インベスターZ」の脚本協力もしている。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP®)