最新記事

AI投資

株の世界もAIブーム、ロボアドバイザーに死角はないのか

2018年9月26日(水)19時00分
川島寛貴 ※株の窓口より転載

PhonlamaiPhoto-iStock.

<人間の営業マンではなくAIが投資家のニーズをくみ取り、最適なポートフォリオをおすすめしてくれるサービスがすでに展開されているが、そのメリット、デメリットを確認してみると>

いま、世の中は空前のAIブーム。株の世界でも、「フィンテック(Fintech)」という言葉とともに、最新技術を駆使した(ように謳われている)ものとして「ロボアドバイザー」が注目を集めています。すでに20を超えるサービスが展開されていますが、気をつけるべき点はないのでしょうか?

話題のロボアドバイザーって?

そもそも「ロボアドバイザー」とは何を指しているのでしょう? 様々な定義と、それを覆す商品なども出てきているため一概には言えませんが、ここでは、ひとまず次のように定義してみます。

「投資家のニーズを入力することによって最適なポートフォリオをおすすめしてくれるシステム」

この定義で注目してほしいのは、「投資家のニーズ」と「最適なポートフォリオ」です。この2点について、詳しく考えてみましょう。

●「投資家のニーズ」とは

わたしたち個人投資家は、それぞれ異なる「環境」「状況」「目的」をもって生きています。そのため、各自のニーズに合った投資活動をしなくてはなりません。ロボアドバイザーは、そのニーズをいくつかの質問によって明らかにしようと試みています。

具体的には、「資産運用におけるリスク許容度や、期待する利回り」といった部分について、投資家それぞれのニーズを知ろうとしているわけです。そのため投資家の側は、「リスクをとっても高いリターンを期待する」あるいは「低リスクで安定したリターンを望む」など、自分の資産運用のイメージに合った答えをする必要があります。

(参考記事)株初心者必読! 株式投資を始める前に考えたい5つのこと

●「最適なポートフォリオ」とは

「ポートフォリオ」とは組み合わせのことです。明確になったニーズに合わせて金融商品を組み合わせるのです。「短期間で、リスクをとってでも、高いリターンを求める」人向けのポートフォリオと、「長期間(たとえば30年)にわたって、低リスクで、安定したリターンを望む」人とでは、まったく異なるポートフォリオになることが予想されます。

つまり、ロボアドバイザーとは、個人投資家の様々なニーズを理解し、その実現に向けて最適であろう金融商品の組み合わせを提供してくれるシステム、ということになります。

●ロボアドバイザー vs. 営業マン

......と、ここでひとつの疑問が出てきます。「それって、証券会社の営業マンや銀行の窓口相談と同じでは?」

たしかに、しっかりとしたヒアリングを行ない、取扱商品の垣根を越えて、本当にお客様のためのポートフォリオを形成してくれることが、証券会社や銀行の理想の形と言えます。しかし現実には、そういった優秀な営業マンはどれだけ存在するかわかりません。

そこで、ロボアドバイザーの出番です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中