最新記事

投資の基礎知識

株式か投資信託か──自分に向いている資産運用を見極めるには?

2018年6月30日(土)15時00分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

グレアム流の投資信託

投資信託の大きな特徴は、分散投資です。分散投資とは投資する対象を分散させることで、価格変動リスクを抑える投資方法です。

「卵はひとつのカゴに入れるな」ということわざのとおり、手持ちの卵(資産)をすべて同じのカゴに入れてしまうと、そのカゴを落としたときに卵は全部割れてしまいます。しかし、複数のカゴに分けておけば、ひとつが駄目になっても他のカゴに入っている卵は安全、という考え方です。

複数の投資対象に分散させて投資すれば、ひとつの投資対象の価格が大きく値下がりしたとしても、リスクを限定的に抑えることができます。

分散投資といえば、投資家の父と呼ばれるベンジャミン・グレアム。人生で何度も経済的破綻を経験した彼は、個人投資家は防衛的に投資すべきだとして、株式と債券の比率を決め、分散投資してポートフォリオで管理するという手法を提唱しています。

自由を求めるか、安心を選ぶか

投資信託などの機関投資家は、扱う資金が大きいため、流動性など規模のデメリットによる様々な制約を受けます。しかし、個人投資家にはそうした制約がありません。株価の突然の変動などに対しても流動性を気にせず、制約なしに機敏に動くことができます。

またインターネットの普及により、個人であっても、企業の決算発表などあらゆる情報をリアルタイムに入手することができるようになりました。情報格差がなくなったことで、個人のほうが自由度の高い投資を行うことができると言えます。

ハイリスクではあっても自分で自由に資産を築きたいなら株式、リスクを限定的に抑えて資産を守りつつ運用したいなら分散投資できる投資信託――あなたにはどちらの手法が向いているかを知るには、あなたがどのような資産形成をしたいのかを考える必要があります。

税優遇制度を活用するなら

個人で株式投資を始めるなら、税優遇制度は存分に活用したいものです。なぜなら、少しでも高いリターンを実現するには、コストを抑えることが確実な方法だからです。個人が使える税優遇制度としてNISA(少額投資非課税制度)とDC(確定拠出年金)があります。

NISAは、株式や投資信託の値上がり益や配当金が非課税(非課税枠年120万円、投資期間最長5年)になる制度です(参考記事:これで納得! 5分でわかるNISAのメリット・デメリット)。

DCは、将来の老後資産のために資金を少しずつ積み立て、それを自分で管理していく年金制度です。個人型は「iDeCo(イデコ)」と呼ばれ、誰でも利用できるようになったことで加入者が増えています(参考記事:巷で絶賛中のiDeCo でも実は、気をつけたい落とし穴もいっぱい)。

NISA、DCともに投資信託は買えますが、DCでは株式を選ぶことはできません。また、2018年度から新たに始まる「つみたてNISA」(非課税枠年40万円、投資期間最長20年)も株式は購入できず、対象商品は一定の条件を満たす投資信託等のみになります。

どちらも口座を開設する前に、自分が活用したい税優遇制度の対象商品を確認しておきましょう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中