テスト問題を予想さえすれば、誰でも東大に合格できる?
テストの点=予想が当たった確率
学校のテストというのは、授業で教えられた範囲からしか出題されない。これは高校・大学受験についても言える。法律で「学力検査」が禁じられ、あくまでその学校に適するかどうかを測る「適性検査」を課すのは中学受験だけ。大学受験はたとえ東大であっても、基本的には学校で習う範囲内だけの勉強をすればいい。
谷川氏によれば、もしも小学生で成績が「中の上」まで届かないとしたら、その原因はただひとつ。勉強量が足りないわけでも、やる気や集中力が足りないわけでもない。教師の話をよく聞いていないからだ。そして、テスト前なのに勉強をしない理由は、勉強のやり方が分からないから。
授業をちゃんと聞いていれば、何がテストに出るかを予想できる。そうすれば、どこを勉強すればいいかも分かる。テストの点とは、実は予想が当たった確率なのだ。そのためには教師の話をよく聞き、教師の気持ちになって考えてみればいい。それが「勉強とは暗記ではく他者理解」という理由だ。
ちなみに教師がテストを作成する際には、100点満点で65点が平均点となるように作ることが多いらしい(あまりに簡単では「突出してできる子」と「できる子」の見極めが困難になるため)。世の中のテストの平均点が65点前後になるのは決して偶然ではなく、出題者がそう意図しているのである。
中学生の頃、谷川氏が成績アップのコツとして友人に「テスト問題を予想すればいいんだよ」と教えたところ、その友人は父親に「けしからん!」と怒られたそうだ。それでは本当の学力が身につかない、と。
だが谷川氏に言わせれば、テスト問題を予想することは決してズルではない。それどころか効率のいい勉強法だ。なぜならテストでは、出題範囲における「重要」かつ「本質的」な事項が「バランスよく」問われる。予想することで出題範囲の内容と重要性を決定づけながら網羅できるのだから、それが学力や実力でなくて何なのだろうか――と。
東大生はちっとも苦労していない
誰だって良い成績を取れればうれしい。それが意欲につながり、学びの習慣となり、将来の可能性を広げてくれることもある。良い成績が欲しいなら、そのために適切な努力をすればいいはずだ。
勉強とは本来、楽しいものであり、学ぶことに対する好奇心と達成欲のない子供などひとりもいない、と谷川氏は言う。そして、苦労すれば良い成績を取れるという誤解は、日本社会に長時間労働を生む弊害になっているとも指摘する。だが、そもそも「努力」と「苦労」は別物だ。
(東大に入って東大生をたくさん見たとき)まずわかったのは「どうやら、勉強で苦労してきた人は一人もない」ということでした。
努力をしてきた自負がある人はたくさんいました。ガリ勉していた人はいたし、たいして勉強していない人もいました。ただ、「勉強がつらかった」とか「机に向かうのが嫌い」とか「もう二度と勉強したくない」などと言う同級生は一人もいなかったのです。(48〜49ページ)
会社で評価され、いい給料をもらい、出世するために必要なのも、本来は苦労ではなく努力のほうだろう。上司が認めてくれないと愚痴をこぼす前に、上司が自分に何を求めているのか、上司に立場になって考えてみるのもいいかもしれない。
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