オフはとにかく休みたい、会話は仕事の話ばかり、という日本人
このような孤立や社会との断絶、人とのコミュニケーション不足は心身の健康を害する可能性を高め、ひいては社会的費用も上がってしまいます。日本人ビジネスパーソンのオフの問題はもはや単なる個人の問題ではなく、社会全体の問題でもあるのです。
年、月、週、日のそれぞれに楽しみを入れる習慣
オフを考える際には、年、月、週、日のレベルで楽しみを入れることが重要です。人は楽しみがあるからこそ辛いことも頑張れるのです。集中と緩和をうまくバランスさせるためにも、年、月、週、日単位で楽しみを入れてください。
年単位では、1週間以上の海外旅行や長期休暇、数か月先のコンサートなどをまず考えます。オフに影響を与える長期の出張なども、可能であれば年計画で日程を確認しておきたいところです。
月単位で考えるのは、お正月、スキー、花見、ゴールデンウィーク、夏の海や山、帰省、紅葉狩り......など。日本は四季の楽しみが盛りだくさんであるだけでなく、月ごと、季節ごとに楽しみ方が違います。小さいお子さんがおられる場合は、「来月は運動会があるからその日は確保しておかないと」「文化祭の発表だけは見に行こう」など、お子さんの学校行事を事前に確認することも重要です。
そして週単位のオフ。週単位では、週に1日はオフ中心の日を作るように心がけましょう。私の場合、週末も仕事をしていることが頻繁にあります。自営業なので休みは特に決まっておらず、アポイントメントが入っていない時に休暇を入れています(余談ですが、自営業は「上司からのやらされ感」がないので週末に仕事をしていてもあまり苦痛ではありません。その分、自分で稼がないといつでも収入ゼロになりますが......)。このように休みが不定期な独立自営業者である私ですが、週に1日程度は仕事を入れない完全オフを作るようにしています。特に大きな予定のないオフの日には、映画や美術館に出かけたり、山の散策などをしています。
最後に1日ごとのオフです。1日の中にも必ずオフを入れてリフレッシュすることが大事です。朝に運動をしたり、仕事が多くて大変な時には強制的に10〜15分程度の休養を取るようにしています。
杏林大学名誉教授でNPO法人日本ブレインヘルス協会の古賀良彦氏によれば、「休んでくつろぐだけでは疲れは飛ばない。仕事と睡眠の間に楽しむ時間を持ち、仕事のことを一瞬忘れてリセットする」ことが大切だそうです(日経新聞2017年10月30日夕刊「『デジタルライフ疲労』を防ぐ」)。
短時間で費用もかからず1人でできることは、好きなドラマを見る、ワインを一杯飲む、楽器を演奏するなどいろいろあります。ご自身の楽しみをぜひとも取り入れてみてください。
他に本書で提唱されているのは、「継続的に運動して脳を活性化する習慣」「自然の荘厳さに触れ謙虚になる習慣」「引退後も続けることを視野に入れて活動する習慣」など。オフの過ごし方が苦手な日本人に向けた、現状を打破する方法論だ。
※第3回:リーダー層も苦手......日本の英語力不足はもはや「国難」だ
『世界で通用する「地頭力」のつくり方
――自分をグローバル化する5+1の習慣』
山中俊之
CCCメディアハウス
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