ビットコインを買った真面目な税理士の末路
ビットコインは投資対象となり得るのか?
2週間ほどで30%強も下落する金融商品を「正しい投資対象」と見られるのか、という話は別の機会にしたいと思います。しかしビットコインは、「素人」が無防備に参加して勝てるような初心者向けのマーケットとは真逆のマーケットであり、あまり言及されることのないリスクも当然潜んでいます。
わかりやすいリスクをひとつ挙げるなら「信託保全」です。法整備が進むにつれて解決されていくとは思いますが、2017年9月25日時点では、ビットコインの取引業者で「信託保全」がされている会社はないと思います。
たとえばFX会社は「証拠金の全額信託保全」が義務化されており、みなさんが投資用に預けた資金は、その会社が倒産しても戻ってきます。しかしビットコインの場合、たとえ取引する会社に数十億の資本金があったとしても、なんらかの理由によって倒産してしまった場合、預けているお金はゼロになるということです。
ビットコインの取引は、このリスクを理解した上での資金管理が必要な、極めて上級者向けのマーケットなのではないかと思います。リスク&リワードという表現がありますが、リスクに見合った最低限の利益を確保しなくてはなりません。
トレードの技術は普遍
真面目な税理士がビットコインを買ったことから、バブル崩壊の歴史を繙き、ビットコインのリスクについてお伝えしました。しかしながら、この混沌としたマーケットにも唯一普遍の事実がある、ということも覚えておいてください。
「変動」があるところにトレーダーは集まります。株が動かなければ為替へ。為替が動かなければコモディティ(金)へ。そしていま激しく変動し、税制も整備されていないビットコイン(仮想通貨)へ。
その「変動」は、人の「上がる(だろう)」「下がる(はず)」といった「思い」によって形成されています。最近ではアルゴリズム・トレード(プログラムされたシステムトレード)も影響力を持ちつつありますが、設計しているのは人です(いまのところ)。そして、そうした人の「思い」を可視化したものが「チャート」です。
だから、チャートを読み解くためにトレーダーはトレンドラインを引き、チャート形状を分析し、ローソク足の位置を把握し、日柄を数えます。つまり、ローソク足が誕生した江戸時代から現代に至るまでトレードの技術は普遍であり、チャートはいつだって活用できる「マーケットの地図」なのです。
真面目な税理士に共感したあなたへ
これから株式投資や為替(FX)、そしてビットコインなどの仮想通貨をはじめようとしている方には、ぜひとも金融や投資・トレードといった基礎を勉強したあとに「リング」に上がってほしいと思います。
マーケットは戦場、戦う相手はプロです。そう、ただクリックするだけで参加できますが、あなたが立っているところは紛れもなく「戦う場所=リング」なのです。
「それじゃ間に合わない!」「いますぐ買わなきゃ!」と焦っているあなたへ。マーケットは逃げも隠れもしません。
価格は永久には上がり続けません。しっかりと学んでから参加しても十分間に合います。無駄な損失を出す必要なんてありません。遅すぎるなんてことは決してないのです。いまから一から勉強し、万全の状態でリングに上がりましょう。
(参考記事)「投資」と「トレード」は別物 あなたが負け続ける理由が、ここにある
[筆者]
川島寛貴[かわしま・ひろたか]
「みんなの株式(みんかぶ)」創業メンバーとして、多くの億トレーダーやアナリストから豊富な知識とテクニックを吸収。投資アドバイザーとしてセミナー講師などもこなす、通称「為替王子」。「ワールドビジネスサテライト(WBS)」、「よるべん」(TBS)、日経CNBCほかメディア出演多数。