70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れる時期」...衰えを素直に認めて上手に賢く生きるコツ
70代はヨボヨボ老人と元気ハツラツ老人の分かれ道
一方、70代はまだまだ老いと闘える時期だと言えます。
長い老いの期間を健やかに過ごすためには、脳の機能をいかに80代以降も保つか、同時に70代のときに持っている運動機能をいかに長持ちさせるかということが大切になってきます。
そのポイントとなるのが、70代の過ごし方です。
70代前半までであれば、認知症や要介護となっている人は1割もいません。ケガをしたり、大病を患ったりしていなければ、中高年の頃のように、たいていのことはできるはずです。
努力すれば、効果も得られますし、日々の積み重ねが80代のあり方を大きく左右するものとなっていきます。
人生終盤の活動期と言える70代を努力して過ごすことで、身体も脳も若さを保つことができ、さらに要介護となる時期を遅らせることもできるのです。
がんの罹患率や死亡率、要介護になる率、あるいは認知症になる率を見てみると、70代で急増しています。
元気に自立して暮らせる「健康寿命」を見ても、2019年時点で、男性が72.68年、女性が75.38年です。ヨボヨボしたりボケたりする高齢者と、元気ハツラツとした高齢者に分かれるのは、まさに70代と言えます。
80代になっても活力を保ちたい、生活の質を維持したい。体も動けるほうがいいし、頭もはっきりしているほうがいい。そう思うなら、70代は老いと闘える最後のチャンスと心得てください。
とにかく体や頭を使い続けているか
加齢とともに身体能力や脳機能が低下してくるのは間違いありませんが、そのスピードや度合いは人それぞれです。
同じ70代、80代でも、認知症が進んで会話もままならない人がいる一方で、これまでの仕事を続けられる人もいれば、ノーベル賞をもらって素晴らしいスピーチができる人さえいます。
寝たきりになったり、日常の生活に介助が必要になったりする人もいれば、水泳やゴルフなどスポーツを楽しめる人もいます。
個人差の原因は、体や頭を使い続けているかどうかの違いです。しかも、高齢になればなるほど、その差は広がります。
若い人が骨折して1カ月ほど入院したとしても、骨がくっつけば歩けるようになります。たとえその間、寝たきりで何もせず、ぼーっとしていたとしても、IQがどんどん落ちてしまうということもありません。
しかし、70代後半ともなると、そうはいきません。
骨折して入院し、本も新聞も読まず、1カ月も天井ばかり眺めて寝ていると、理解力が急速に低下して、ボケたようになってしまうこともめずらしくない。
退院したものの筋肉が衰えて、その後まったく歩けなくなってしまうということもよくある話です。