最新記事
BOOKS

世界の若者を苦しめる「完璧主義後遺症」...オードリー・タンは「ジグソーパズル」にたどり着いた

2024年11月14日(木)17時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

現在、台北医学大学心智意識與脳科学研究所(日本でいう人文社会科学部)の教授を務めるティモシー・ジョセフ・レーンによると、当時わずか16歳だったオードリーは、教室で大学生たちに交じって講義を聞いていても、少しも物怖じする様子はなかったという。

自分の居場所を求めて大学へ行き、哲学からインターネットに関するものまでさまざまな講義を聴講して思想的視野を広げていったオードリーは、この世界に正しい答えを知る者など誰もいない、「誰もが自分にとっての正しい答えをもっていていい」のだと深く悟った。

同時に理解したのは、「問題解決の責任を一個人に負わせない」ことの重要性だ。

能力主義によって競争心が強まった80年代

1981年生まれのオードリーが育った時代は、まさに能力主義とエリート教育への信仰が広がり始めた時代と一致する。

『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(早川書房)が全世界で注目を集め、当代一の有名哲学者となった、ハーバード大学政治哲学教授のマイケル・サンデルは、2020年のパンデミック期に書いた『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(早川書房)のなかで、エリート教育が現代社会にもたらす害悪を指摘している。

1980年代にハーバード大学で教え始めたとき、「ハーバード大学に合格できたのは自分が努力した結果であり、運は関係ない」と考える学生が増えていることに気づいたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、インフレ抑制へ「あらゆる手段」 不確実性は

ビジネス

オラクル、通期売上高見通しが予想超え AI収益化巡

ビジネス

イラン巡るエネ価格急騰は一時的、米報道官 国民の懸

ワールド

カナダ・トロントの米国領事館に銃撃、首相「言語道断
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 5
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 6
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 9
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 10
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中