最新記事
ビジネス

「幸福度が高く、成果も出せるチーム」は、何が違うのか? ポーラ幸せ研究所が見つけた「7か条」

2024年4月18日(木)17時34分
flier編集部

newsweekjp_20240416101425.jpg

株式会社ポーラ 代表取締役社長(flier提供)

「幸福度は高いが、成果を出せていないリーダー」との違い

──及川さんは2021年に幸せ研究所をつくり、所長になられました。設立の経緯はどのようなものでしたか。

ポーラの企業理念は「美と健康を願う人々および社会の永続的幸福を実現する」。では私たちが実現したい幸せとは何なのか改めて考えよう、というのが設立のきっかけでした。「美と健康を願う人々」とは、ポーラの社員とビューティーディレクターをはじめとするビジネスパートナーのこと。まずは社員とビジネスパートナーの幸せを、そしてお客さまの幸せを追求しようとして行きついたのが、幸福学を研究する前野隆司先生の著書『幸せのメカニズム』でした。読み進めると、幸福学のソリューションとポーラの状況がまさにピッタリだと気づいたのです。

──「幸せで成果を出すチームの共通項」のなかで、特に印象深い発見は何でしたか。

読者から反響があったのが、「本人の幸福度が高く、成果を出しているリーダー(オーナー)」と「本人の幸福度は高いけれど、成果を出せていないリーダー」を比較した結果でした。

前者のリーダーは、相手の幸せを自分の幸せと捉え、「利他」の精神を持っていました。そして、幸せなチームづくり7か条にもある、「ジャッジをしない・正解を求めない」「任せる・委ねる・頼る」という行動を徹底していたのです。彼女たちが大事にしているのは、「相手にとっての幸せ」は何かを考えること。その結果、命令をせず、まずは自分が動いていた。

一方、後者のオーナーは自分のためにメンバーを動かし、メンバーを変えようとしていました。メンバーのことを、自分が幸せになるための「道具」のように捉える「利己」の精神が見受けられたのです。

──大事にする起点が「相手」なのか「自分」なのかで、大きな違いが生まれたのですね。

たとえばメンバーに行動の改善を求めたい場合にどうするか。幸福度と成果がともに高いリーダーは、「なぜ~~できなかったの?」と追及するような聞き方はせずに、「次からあなたはどうしたいと思う?」と意見を聞く。すると、メンバーは委ねられることで自分が必要とされていると感じ、自主的に行動するようになる。大事なのは、リーダー自身が、相手ではなく自分が変わるというマインドでいることです。

短期的には指示命令をするほうが成果は出るかもしれません。ですが、長期的に成果を出せるチームになるには、「自分で考えて動ける人」が育つことが大事です。危機に瀕したときに、自分で考えて判断し、試行錯誤したケーススタディーがちゃんと蓄積しているかどうか。そういう経験を積んだ人は、今後自ら動くリーダーになれるかもしれないですよね。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、12月にも利下げ余地 段階的な緩和必要=キ

ワールド

イスラエルとヒズボラ、激しい応戦継続 米の停戦交渉

ワールド

ロシア、中距離弾道ミサイル発射と米当局者 ウクライ

ワールド

南ア中銀、0.25%利下げ決定 世界経済厳しく見通
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中