CO2排出の削減と、災害に強い街づくり...2つを一挙に実現する「日本初」の試みが千葉県市川市で始まる
市川市役所第一庁舎の地下駐車場に設置された「everiwa Charger Share」登録のEV充電器を披露する大瀧社長と田中市長
<パナソニックは市川市と協定を締結し、EV用充電インフラの整備促進と啓発活動を実施するプロジェクト「everiwa no wa 市川Action」を開始した>
日本政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すなか、重要となる取り組みのひとつとして、自動車による排出ガスの削減が挙げられる。国内の各自治体では、補助金などを含めたEV(電気自動車)普及のためのさまざまな施策が導入されているが、千葉県市川市ではこれまでにない新たな試みが始まった。
10月27日、パナソニックエレクトリックワークス社(以下、パナソニック)と千葉県市川市は、「EV用充電インフラの整備促進及び啓発に向けた協定」を締結した。市川市は、今年を「カーボンニュートラル元年」と位置付け、2030年には二酸化炭素排出量の50%以上を削減し、2050年にはこれを実質ゼロ、つまりカーボンニュートラルを実現すると表明している。それに加えて、災害時におけるレジリエンス(回復力)向上を図ることも目指している。
市川市の田中甲市長はその目的を、「市民や事業者を守り、持続可能で住みやすい活気あるまちづくりを進める」ことと説明。これを実現するため、市川市は産官学の協力・連携体制を構築し、強化を進めている。今回のパナソニックとの締結も、その一環となる取り組みだ。
EVの普及促進だけではないメリットが
これまでにも市川市は、EV車購入に独自の補助金制度を設け、公用車にEVのシェアリング使用を行うなどの対策を講じてきた。そして今回、パナソニックと協定を締結したうえで実施するプロジェクト「everiwa no wa 市川Action」も、市が課題に挙げる「交通のCO2削減」を推進するためのものだ。
everiwaとは、社会課題の解決を目指してパナソニックが2022年秋にスタートさせた「共創型コミュニティ」のこと。現在、そのビジョンに賛同する20社が参画しており、最初の取り組みとして今春より運営が始まったのが、EV充電器のシェアリングサービス「everiwa Charger Share」だ。
これは、EV充電器を貸したい人(ホスト)と、借りたい人(ユーザー)をつなぐプラットフォームを提供するサービスで、ユーザーは専用のアプリケーションソフトで近隣の充電器を探して予約。充電後はオンライン決算により支払いを行うシステムだ。なお登録する充電器は、サービスを提供するパナソニックの製品である必要はなく、ホストは所有する充電器のメーカーに関係なくサービスに参加できる。