最新記事
自己啓発

不当な解雇通知はカネになる 2社から4700万円勝ち取った会社員、円満退社を可能にした「バックペイ」とは?

2023年7月18日(火)18時00分
佐藤大輝(ブラック企業元社員) *PRESIDENT Onlineからの転載

和解金は500万円、1000万円と上がっていき......

会社側は裁判序盤に約500万円、後半に約1000万円の和解金を提示してきた。判決日まで残り1カ月を切った頃、約1500万円を提示された時はさすがに心がグラついたが、和解金の30%以上は弁護士費用で吹っ飛ぶ。裁判期間中に借り入れた100万円の借金と、奨学金の残債400万円を返済したい事情もあった。

 
 
 
 

私は獲得金額の早見表(自作。弁護士費用等を差し引いた時の手取り額)を確認しながら、和解案を蹴飛ばし続けた。和解交渉中、弁護士や裁判官から何度も「譲歩」を求められた私だが、聞く耳を持たなかった。結局、泣く泣く会社側が折れ、白旗を上げた。

ちなみに一般的な不当解雇の解決金は、労働者側が勝利濃厚の場合、「バックペイ+α」が一つの目安になる。しかし、プラスαで慰謝料は認められにくく、仮に認められても50万~100万円ほどが「相場」と言われている。諸々の「運」も味方に付けた私の事例は再現性が低いだろうから、訴訟を検討する際はこちらを参考にしてほしい。

「仲間に証言してもらう」は絶対やってはいけない

意外かもしれないが、大人のけんかは子供のけんかと大きく変わらない。言った、言ってない。やった、やってない。水掛け論が基本スタイルであり、これは戦いのステージが裁判になっても同じである。

よって第三者から正当な判断をしてもらうためには自身の主張を裏付ける証拠(あるいは相手の主張や嘘を突き崩す証拠)が必要になってくる。当然、個々の案件により集めるべき証拠は異なるので、これだけは集めておけといったアドバイスは難しい。だが一つだけ、「仲間からの証言を証拠としてカウントしてはいけない」という注意点は声を大にして伝えたい。

労働問題に悩んでいる方は「いざとなったら職場の同僚に証言してもらおう」と考えがちだが、これは完全に愚策である。なぜなら証言は証拠力が低いからだ。証言は嘘がつける。つまり証拠としての信憑性が低い。また、会社側も仲間を使って虚偽の証言で対抗することができる。こうなると第三者は何が何だか分からなくなる。証言以外の物的証拠をどれだけ集めることができるかが、生死をわけるキーポイントであることを強く意識すべきだ。

物的証拠がない被害はやはり録音が最強

ちなみに私の裁判で会社側は、いかに私がダメ社員だったかを証明するため計3人の社員から証言をとり、証拠として提出してきた。法廷で証言台にも立ち、熱弁を振るっていた。だが、結果はお伝えした通りである。

どのような証拠を集めるべきか悩んでいる方は、まずは「労働に関する知識を集める」ことに汗を流してほしい。知識は武器だ。法律もそうだし、民事裁判で採用されやすい証拠は何かなど、いくらあっても困らない。なお証拠集めに関して、現時点で私は「職場のコピーを自宅に作る勢いで、全部の資料や音声をとりあえず集めておく」といった結論に辿り着いているが、モラル的にはいかがなものかと思うし、罪悪感を抱く方も多いかもしれない。

それでもやはり録音アプリは積極的に活用すべきだろう。威圧的に机を叩く音などを録音できたら、むしろこちらが感謝したくなるほどのレベルで強力な証拠になる。今時の録音アプリは無料でダウンロードでき、スマートフォンであれば相手も警戒心を抱きにくい。パワハラやセクハラ問題等、物的証拠が残りにくい被害を受けている方は、まずは自分の発言を記録に残すことを目的に、録音アプリを使ってみてはいかがだろうか。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IEA、最大規模の石油備蓄放出勧告へ 計4億バレル

ワールド

ホルムズ海峡で3隻に飛翔体直撃、日本船籍コンテナ船

ワールド

イラン、米・イスラエル関連の域内経済・銀行拠点をを

ワールド

市場変動が経済への衝撃増幅も、さまざまなシナリオ検
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中