最新記事
経営

「ちゃん付け・くん付け」「結婚は?」いまだ世代間ギャップもある!セクハラ発言一覧

2023年5月30日(火)10時45分
三原明日香 ※経営ノウハウの泉より転載
女性

takasuu-iStock.

<胸を触るなどの身体的な接触をともなう言動は、誰が見てもセクハラと判断がしやすいが、「セクハラだと感じる発言」は個人差が大きく、ボーダーラインがあいまい。どういう発言が問題になりやすいのか>

「セクハラは社会的に許されない」という認識は、会社の経営者や労働者の間でもかなり広がっていると思います。

ですが、世代間のギャップや「これくらい大丈夫だろう」という認識の甘さから、職場でセクハラを引き起こしてしまうケースは多々あります。トラブル防止のためには、セクハラのボーダーラインについてしっかりと認識することが重要です。

セクハラとみなされる法的基準は?

男女雇用機会均等法では、セクハラについて「職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすること」と定めています。この条文でいう"職場"には、ふだん働いている場所以外にも、取引先の会社や出張先、宴会なども該当します。職務の延長と考えられる場合は"職場"と考えて構いません。"労働者"は、正社員やパート社員等、契約期間や労働時間にかかわらず、事業主が雇用するすべての労働者が対象です。

職場でのセクハラには、"対価型"と"環境型"があります。労働者に対して性的な言動を行い、拒否された腹いせに解雇や降格、減給、不利益な配置転換などをすることを「対価型セクシャルハラスメント」といいます。また、性的な言動で労働者の就業環境を悪化させたりする行為は「環境型セクシャルハラスメント」と呼ばれています。

セクハラが横行している会社からは人が離れていく

セクハラのある会社は、さまざまなリスクをはらんでいます。もしセクハラを放置した場合、会社も使用者責任あるいは安全配慮義務違反を問われるおそれがあるでしょう。裁判になって損害賠償請求が行われた場合には、経済的な損失だけでなく風評も大きな問題になります。

「あの会社はセクハラが横行している」という情報が世間に流れたら、人材募集を出しても求職者から避けられることになりますし、取引先に対する印象も悪くなってしまいます。

すでにいる人材に対する悪影響も甚大です。被害者はもちろん、他の労働者も「セクハラに対して会社は何もしてくれない」と失望し、モチベーションが下がったり、離職したりするかもしれません。貴重な人材に定着してもらうためにも、セクハラの芽は摘まなければならないのです。

「かわいいね」とほめるのもNG?よくあるセクハラ発言一覧

労働者の胸や腰をさわるなどの身体的な接触をともなう言動は、誰が見てもセクハラという判断がしやすいものです。一方で「セクハラだと感じる発言」は個人差が大きく、ボーダーラインがあいまいです。具体的にどういう発言が問題になりやすいのか、10個の例をご紹介します。

いずれも、男性から女性に対しての発言だけではなく、反対のケースもありえます。相手の性的指向や性自認に関わらず、同性同士でもセクハラになりえることを想定してください。

【1】「デートしよう」「おごってあげるから食事に行こう」と執拗に誘う

社内の人間関係を円滑にするためには、食事をともにするのは有効な手段です。しかし、相手が性的な意図を感じるとセクハラになってしまいます。とくに遅い時間帯だったり、個室だったりすると「下心があるのでは?」と疑われることもあるでしょう。他意はない場合でも、特定の人を何度も誘わないように気をつけてください。

【2】「初体験はいつ?」「ちゃんと子作りしてる?」等性経験に関することに触れる

「初体験はいつ?」「夜の生活はどうなの?」といった質問を気軽にする人がいますが、相手にとっては不快感が高まりやすい発言です。見落としがちなのが同性同士でもNGだということ。例えば男性の上司が男性の部下に対して「お前は童貞だからな」と人前でからかうようなケースもセクハラにあたります。

(参考記事)社員のセクハラが発覚したら...会社の責任は?過去事例・対応の注意点【弁護士が解説】

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 演習2日

ワールド

オランダ企業年金が確定拠出型へ移行、長期債市場に重

ワールド

シリア前政権犠牲者の集団墓地、ロイター報道後に暫定

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ麻薬積載拠点を攻撃と表明 初
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中