最新記事

教育

「お金もちには、どうすればなれるの?」 子どもの素朴な疑問にあなたならどう答える?

2022年9月3日(土)13時05分
午堂 登紀雄(米国公認会計士) *PRESIDENT Onlineからの転載

小2の長男が「不登校宣言」したときに、かけた言葉

そしておそらく次に来るであろう子どもの疑問は「じゃあ、どうしたらそんな人になれるの?」ではないでしょうか。

そこで私が数カ月前、小学2年生の長男に言ったのは「たくさん勉強することだよ」でした。

私の長男は発達障害(自閉症スペクトラム)ということもあり、集団生活が苦手です。

それで今年2年生に上がってすぐ、「学校楽しくない! 学童楽しくない! もう行きたくない!」といきなりの不登校宣言(普段は支援級ですが、普通級にも合流していますし、1学年300人近くいるマンモス校ゆえに学童も人でいっぱいなのです)。

そこで、こう話しました。

「学童はやめていいよ。ほかの民間学童を探してみよう。でも学校の勉強は大事。たくさん勉強すれば、お金持ちになれるよ。お金持ちになれば、ニンテンドースイッチもたくさんできるよ。動画もたくさん観られるよ。でも勉強しなかったら、お金持ちになれないから、ニンテンドースイッチもできないよ。だから学校は行こうね」

長男はニンテンドースイッチが大好きなので、これをエサにしたのです。

すると長男は純粋だからなのか「うん、僕、お金持ちになる。お金持ちになってニンテンドースイッチいっぱい買う。だから勉強する」と言って以来、一度も学校に行きたくないとか勉強したくないとは言わず、毎日黙々と学校へ行き、学童の代わりに選んだ個別学習塾へも淡々と通っています。夏休みの現在は毎日夏期講習ですが、文句の一つも言わず「行ってきます!」と塾へ行っています。

ゲームをエサにしてもいいのか

重要なのは、この回答がいいとか悪いとかではなく、私の長男の年齢や個性、自閉症の特性、理解力を考えたとき、こういう表現でもやる気になってくれたなら彼には合っていたのだろう、ということです。

たとえば小遣いをエサにするとやる気が出る子もいれば、逆に報酬がないと勉強しなくなるという子もいるでしょう。何ごともその子への適性があると思います。

お金持ちになるかどうかはともかく、学校の勉強、特に基礎学力が重要なのは以前の記事(「受験勉強のやり方が全然違う」高学歴なのに稼げない人、稼げる人を分ける"ある能力")でも書いた通りです。ゆえに私は折に触れてたとえば、

「ニンテンドースイッチを作ったのは、学校でたくさん勉強した人たちなんだ。ゲームのプログラムとか音楽とか、多くの部品をこんな小さな端末に実装する技術とか、これができるのは学校で一生懸命勉強したからなんだ。でも勉強しなかったら、ニンテンドースイッチは作れないんだよ」

みたいな話をしています。

冒頭で「正解はない」と書きましたが、読者の皆さまも、もし子どもから同じような質問を受けたとき、自分ならどう答えるか考えてみてはいかがでしょうか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

FRB、明確な反対意見ある中で利下げ決定=10月F

ワールド

ゼレンスキー氏、トルコの和平仲介に期待 エルドアン

ワールド

EXCLUSIVE-米、ウクライナに領土割譲含む紛

ワールド

米政権のケロッグ特使、1月退任の意向 ウクライナ擁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 7
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 8
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中