生活保護が増加する一方で1.2億円タワマンが即完売 日本列島一億総下流社会への序章
加えて、ロシアのウクライナ侵攻によって、日本の木造住宅にも用いられるロシア産の木材などの輸入が滞り、資材価格も高騰。不動産価格はかつてない水準まで膨らんでいる。そうしたなか、都心部の麹町などでも大規模なマンション開発が進み、不動産バブルに拍車をかけている格好だ。
今日住む家が見つからないホームレスや生活保護受給者が増加するのとは対照的に、富める者がより富む「二極化」は、まさに極限まで進んでいる。そうなると、以前ならそのような状況にもどうにか太刀打ちできた中間層も、手をこまねいているうちに貧困層に陥る可能性すら出てくるに違いない。
つまり、インフレで資源や食料はもちろん不動産価格までもが上昇する、大きな流れにありつけない日本人がますます増える可能性が高まっているのだ。
韓国に抜かれた日本はますます「貧しい国」に
かつて「一億総中流社会」といわれ、大多数を占めていたはずの中間層が、いまや実質的に貧困層にこぼれ落ちているような現象が広がっている。その一方で、富める者はより富み、一握りの超富裕層と大多数の貧困層に二分される「二極化」の格差は広がるばかり。
このままでいけば、「一億総下流社会」になる恐れすら高まっている。
それにしても、なぜここまで日本は貧しい国になったのか。一言でいえば、収入が増えていないからにほかならない。OECD(経済協力開発機構)が算出する主要7カ国(日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)に韓国を加えた平均実質賃金の推移を見ると、日本だけが低いままであることが一目瞭然だ。
米国は2000年から伸び続け、2020年時点の実質賃金は7万ドルに迫る勢いで突出している。一方で、日本は2015年には韓国にも抜かれ、2020年にはコロナの影響でイタリアが最下位になったものの、それまではイタリアよりも低い賃金だった。
まして米国を筆頭に、カナダ、ドイツ、英国、フランス、そして韓国も右肩上がりで伸びているのに、日本とイタリアだけがこの20年間、賃金が増えていないのである。
しかも、賃金が増えていないのは、この20年間だけではない。