最新記事

自動車

軽自動車でもEVはまだぜいたく品? 買っていい人、やめた方がいい人の条件とは

2022年8月21日(日)12時40分
山崎 明(マーケティング/ブランディングコンサルタント) *PRESIDENT Onlineからの転載

6月に発売されたばかりの日産のEVサクラ 写真提供=日産自動車


6月16日に発売された日産サクラの勢いが止まらない。7月28日には受注が2万3000台に達したと発表され、早くも2021年の1年間に日本で売れた全BEVの数字を超えた。果たして話題の最新EVは普段使いの足として使えるのか? 自動車業界に詳しいマーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明氏が4日間、実際の日常生活の中で試乗した──。


1カ月超で昨年1年間のBEV販売台数を超えた

先日、私は日産サクラに関する記事を書いた(「日本でEVが普及しない根本原因とは ── 30分かけても高速道1時間分しか充電できない」)。BEV(バッテリー電気自動車)が日本ではあまり売れない中、6月に発売されたばかりのサクラだけが非常によく売れているという点に注目したのである。

サクラはその後も売れ続けており、7月28日に発表された数字では、受注は2万3000台に達しているという。発売から1カ月と12日しか経っていないのに、すでに昨年1年間のBEV販売台数(約2万台)をしのぐ数を受注したのである。

サクラは軽自動車であり、バッテリーも20kWhという小型のものしか搭載しておらず、航続距離はWLTPモードで180kmに過ぎない。

しかし、それゆえ価格は安く、補助金も勘案すれば軽自動車のターボ車とそれほど変わらない価格で購入できる。自宅で充電し、航続距離の範囲内で運用すれば、経済的かつ利便性も高く、軽自動車としては加速性能にも優れるという理想的な車になりそうだ。

日産サクラ

日産サクラ  写真提供=日産自動車

4日間、サクラを実際に使ってみた

そこで私は、7月29日から8月1日まで、4日間にわたりサクラを借り受け、実際に足代わりとして使用してみることにした。

サクラはそのスペックからロングドライブには不適切であり、ほかにロングドライブ用のエンジン(内燃機関)搭載の自家用車をもっているという前提でのシミュレーションが適切であると考えた。

私は現在、ロングドライブ用に高速燃費に優れるBMW 118d(ディーゼルエンジン搭載。5年落ちの旧型)を所有しており、ほかに妻用に軽自動車の三菱アイ(BEVのi-MiEVではなくガソリン車。14年前の年季の入ったもの)がある。

私の住む藤沢市と隣接する鎌倉市は狭い道が多く、近所を走るときはアイのほうが圧倒的に便利なため、日常的にはアイを使う機会が多い。このアイの代替車として、サクラをシミュレーションしてみたい。

車庫前の日産サクラと三菱アイ

筆者の自宅車庫前のサクラ。隣にある三菱アイの代替車としてサクラの購入を検討中  写真提供=筆者

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中