自動運転車の開発競争、先頭ゴールは意外にもトラック?
オクスボティカは、オンライン食品宅配テクノロジー企業の英オカドとも提携している。オカドは、米国の小売チェーン企業クローガーなどのために、サプライチェーンシステムの自動化に取り組んでいる。BPとオカドは、両社ともオクスボティカに投資している。
オカドで先進テクノロジー担当部門を率いるアレックス・ハーベイ氏は、オクスボティカのテクノロジーは「倉庫やバックヤード、道路、あるいは道路脇やキッチンでも活用できる」と話した。
左折は回避
米国の自動運転EVメーカー、アウトライダーが狙いを定めているのは、流通倉庫のバックヤードだ。輸送トラックから切り離されたトレーラーを引き取り、新たにけん引してもらうトレーラーを整列させる作業である。製紙企業ジョージアパシフィックがシカゴに設けている流通倉庫もその一例だ。
アウトライダーは、トラックがトレーラーの接続・切り離しを行うためのロボットアームを開発した。これまでに1億1800万ドルを調達し、アンドリュー・スミスCEOは、今後5年間で自動運転車を数千台まで拡大する計画を口にする。
スタートアップ企業であるアウトライダーは、バックヤード相互をつなぐ短距離輸送も開始したいと考えているが、スミスCEOによれば、公道での運用になると話が複雑になるという。
同CEOは「自動運転テクノロジーは最初のうち大いに喧伝(けんでん)されたが、短期的ソリューションとして最適なのは、限定された環境で、低速の作業が繰り返される流通倉庫のバックヤードでの活用だと分かった」と述べた。
公道での展開には慎重な運用が必要だ。規制の厳しさもあるが、米国のような訴訟社会では、法的な問題に巻き込まれるリスクもある。
オンライン専業の運送保険会社コフィー・ラブズのイアン・ホワイトCEOは、「ブラックスワン」級、つまり非常に低頻度だが巨大な賠償金額を伴う事故が起きれば、展開を急ぎすぎて失敗した企業は一掃されてしまうだろうと話す。「会社の存続そのものが揺らぐことになる」
ガティックのゴータム・ナランCEOは、だからこそ同社は、流通センターと小売企業を結ぶ「ミドルマイル」と呼ばれる流通経路に慎重にアプローチする道を選んだのだと話す。
ガティックが運用するトラックは、直進車両の進路を横切る左折箇所や、学校、病院、消防署、見通しの悪い曲がり角、その他面倒が起きそうな要素を避け、予測可能性の高い短いルートを走る。
「自動運転車連産業が解決しようとしている厄介な状況に片端から取り組んでいるわけではない」とナランCEOは言う。「複雑性という観点から、平穏無事なルートを使って、少しずつ前進している」
ガティックは、ウォルマート、ロブロー・カンパニーズと提携して、安全監視役のドライバーを乗せた自動運転トラックを運用しているが、アーカンソー州ではドライバーを乗せないルートもいくつか使っており、グローバル規模のドライバー不足をチャンスと捉えている。
「非常に切迫したニーズのあるシンプルな利用状況にフォーカスしようと決めた」とナランCEO。「自動運転というテクノロジー自体を目的にしているわけではない」
(Nick Carey記者、Paul Lienert記者、翻訳:エァクレーレン)
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