最新記事

自動車

米GMと韓国LG、相次ぐEVバッテリー発火事故で「仮面夫婦」の声

2021年9月20日(月)09時30分
GMの工場で組み立てられたEV「シボレー・ボルト」

米自動車大手、ゼネラル・モーターズ(GM)と韓国の複合企業LGは長年にわたり、手を携えて電気自動車(EV)の開発に取り組んできた。写真はミシガン州レイク・オリオンにあるGMの工場で、部分的に組み立てられたEV「シボレー・ボルト」。2018年3月撮影(2021年 ロイター/Rebecca Cook)

米自動車大手、ゼネラル・モーターズ(GM)と韓国の複合企業LGは長年にわたり、手を携えて電気自動車(EV)の開発に取り組んできた。しかし、GMのEV「シボレー・ボルト」に搭載したLG傘下企業のバッテリーで発火事故が立て続けに発生し、GMが大規模なリコール(無償の回収・修理)を余儀なくされたことで、両社の「蜜月」は大きく揺らいでいる。

GMのポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)は10日の投資家向け説明会で、LGのバッテリー工場の製造工程における問題を解決し、GMの品質基準を部分的に導入すべく、GMの技術者がLGに協力していると明かした。

GMはLG傘下のバッテリー大手、LGエネルギーソリューション(LGES)の韓国と米ミシガン州にある工場が、ボルトの連続バッテリー発火事故の原因になっていると特定した。GMは一連の事故をきっかけに3件のリコールを実施し、関連費用は18億ドルに上る。機器の修理はまだ、行われていない。

LGESと同社の関連会社LG電子は10日、GMとの「密接な関係」を強調。ボルトのバッテリー不具合の問題解決に向けて最終的なリコール計画を策定すべく積極的に協力していると説明した。ボルトは2016年末以来の製造台数の累計が、14万台余りに達している。

GMの広報担当は9日に「GMとLGの専門家は、この問題に24時間体制で当たっている」と述べ、LGが正常なバッテリーを供給できると確信でき次第、できるだけ速く修理を開始すると説明した。

GMによると、初期モデルのボルトはバッテリーパックを全て交換し、後期モデルは不具合のあるモジュールのみを交換する。ただ、新たな部品が手に入るのは、今年11月以降になるかもしれない。

浮上する負担増のリスク

一方、ソーシャルメディア上ではボルトのオーナーやEVの購入を検討している顧客がGMとLGに不満や懸念をぶつけており、両社がバッテリー発火事故で、どれほどのダメージを受けるのか見通しが立たない状態だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 6
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 7
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 8
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 9
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中