アマゾン、巣ごもり需要一段で売上高の減速予想 ジャシー新CEO体制に試練
米アマゾン・ドット・コムが29日示した第3・四半期の売上高見通しが市場予想を下回った(2021年 ロイター/Mike Segar)
米アマゾン・ドット・コムは29日、売上高の伸びが今後数四半期にわたって鈍化するという見通しを示した。新型コロナウイルス禍で急拡大していたインターネット通販利用が一服しつつあることが背景。
同社は今月、最高経営責任者(CEO)が前任のジェフ・ベゾス氏からアンディ・ジャシー氏に交代したばかりで、ジャシー氏は難しい経営の舵取りを迫られそうだ。
売上高の伸び率は第2・四半期に27%と、前期の44%から鈍化。第3・四半期は最大でも16%にとどまるとの見通しを示した。有料プライム会員からの収入が減速しているという。引け後の時間外取引でアマゾンの株価は7%下落した。
第3・四半期の売上高見通しは1060億─1120億ドル(10─16%増)と、リフィニティブのまとめたアナリスト予想の1189億ドルに届かなかった。
アマゾンのブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は増収率の鈍化見通しについて、昨年は消費者が家で長い時間を過ごし、日々必要な買い物もネットで済ませていたが、欧米では現在、外出する人が増え、人々は「買い物以外のこともするようになった」と指摘。売上高の伸び鈍化は数四半期続く見込みだと述べた。
第2・四半期決算は、純売上高が1130億8000万ドルと、前年同期の889億1000万ドルから増加したものの、市場予想の1152億ドルを下回った。北米の伸びは22%と、前年同期の43%から半分近くに鈍化した。
一方、クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売上高は37%増の148億ドルで、予想の141億ドルを上回った。
利益は48%増の78億ドルと、過去2番目の大きさとなった。今第3・四半期の営業利益は25億─60億ドルを見込む。コロナ関連費用が10億ドルになるとの前提を置いている。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、ブライアン・ヤーブロー氏はアマゾンが急成長を維持するのは「現実的ではない」と分析。「ネット通販の伸び率は10─12%のレンジに減速するだろう。事業の規模の大きさを考えれば、依然として驚異的な伸び率だ」とした。