最新記事

日本社会

日本企業の意味のないムダ仕事トップ3 朝9時に全社員が出社しても1円にもならない 

2021年7月5日(月)12時25分
澤 円(株式会社圓窓代表取締役) *東洋経済オンラインからの転載
ソーシャルディスタンスに配慮したオフィスで働くビジネスパーソン

ソーシャルディスタンスに配慮してもテレワークはせず全社員を出社させるという会社も *写真はイメージです amenic181 - iStockphoto

「新型コロナウイルスの出現で、仕事の『あたりまえ』が変わった」と語るのは「プレゼンの神」と呼ばれる元マイクロソフト業務執行役員の澤円さん。コロナ禍が始まって以来、これまでやってきたからやっていたにすぎない無意味な仕事があぶりだされたと述べています。その「ムダな仕事」トップ3を澤さんの最新刊『「疑う」からはじめる。』から紹介します。

[ムダな仕事1]毎朝9時に出社する

以前、僕の友人がこんな話をしてくれました。ある日、都内に大雪が降って会社に遅刻してしまったそうです。前日から雪の予報だったので30分以上早く家を出たものの、案の定どこもかしこも混雑していて、結局、彼は5分の遅刻をしてしまいました。自分と同じような者もちらほらいたと言います。

「この天候じゃ仕方ないよな」

そう思った瞬間でした。

「雪が降るのはわかっていたはずだ! なぜもっと早く家を出ないんだ!」

いきなり部長がキレたのです。

あまりの剣幕にみんな驚いて口も利けません。部下たちの様子を見てさらに弾みがついたのか、部長は、それから30分以上もみんなを立たせたまま説教を続けたそう。

みなさんは、この出来事についてどう思いますか。5分の遅刻に対して30分以上の説教......。これって、僕流に言わせてもらえば完全な「暴力」だし「時間泥棒」です。それに、その部長は遅刻に対してキレたことで、「わたしはマネジメント能力がゼロなのだ!」と大声で叫んだようなもの。

この話を聞いて、僕は「ねえ、その会社いますぐ辞めたら?」と友人に言ったのですが、同じようなことが日本の会社では結構まかりとおっています。もしかしたら、みなさんも似たような出来事に遭遇した経験があるかもしれません。

この「仕事のはじまりの時間に厳しく、終わりの時間にはゆるい」のは、日本企業特有のマインドセットです。朝、数分遅刻しただけでガミガミ怒られるのに、夜は数時間残っていても、怒られるどころか「頑張っているな」と褒められることすらあります。

でも、よく考えてみてください。そもそも各部署でそれぞれやることがちがうのに、朝9時に全社員がそろって出社しても1円にもならないではありませんか。また、だらだらと残業したって生産性が高まるとはとても思えません。会社とは、あくまでも利益を出す場所。これらはまったくもって意味のない行為です。

1人ひとりが疑わなければならない

こういった無意味なルール、無意味な時間の考え方を、いまこそ1人ひとりが疑わなければならないのだと思います。

「それって本当に効率がいいの?」

「これがなにかを生み出しているの?」

「誰かが幸せになるものなの?」

1人ひとりが自覚的に、自らに問いかけることが大切なのです。

「なぜ全社員が同じ時間に出社する必要があるのでしょうか」こんなことを言えば、「現場はもう動いているんだ!」と言い返されるのがオチです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中