日本企業の意味のないムダ仕事トップ3 朝9時に全社員が出社しても1円にもならない
ソーシャルディスタンスに配慮してもテレワークはせず全社員を出社させるという会社も *写真はイメージです amenic181 - iStockphoto
「新型コロナウイルスの出現で、仕事の『あたりまえ』が変わった」と語るのは「プレゼンの神」と呼ばれる元マイクロソフト業務執行役員の澤円さん。コロナ禍が始まって以来、これまでやってきたからやっていたにすぎない無意味な仕事があぶりだされたと述べています。その「ムダな仕事」トップ3を澤さんの最新刊『「疑う」からはじめる。』から紹介します。
[ムダな仕事1]毎朝9時に出社する
以前、僕の友人がこんな話をしてくれました。ある日、都内に大雪が降って会社に遅刻してしまったそうです。前日から雪の予報だったので30分以上早く家を出たものの、案の定どこもかしこも混雑していて、結局、彼は5分の遅刻をしてしまいました。自分と同じような者もちらほらいたと言います。
「この天候じゃ仕方ないよな」
そう思った瞬間でした。
「雪が降るのはわかっていたはずだ! なぜもっと早く家を出ないんだ!」
いきなり部長がキレたのです。
あまりの剣幕にみんな驚いて口も利けません。部下たちの様子を見てさらに弾みがついたのか、部長は、それから30分以上もみんなを立たせたまま説教を続けたそう。
みなさんは、この出来事についてどう思いますか。5分の遅刻に対して30分以上の説教......。これって、僕流に言わせてもらえば完全な「暴力」だし「時間泥棒」です。それに、その部長は遅刻に対してキレたことで、「わたしはマネジメント能力がゼロなのだ!」と大声で叫んだようなもの。
この話を聞いて、僕は「ねえ、その会社いますぐ辞めたら?」と友人に言ったのですが、同じようなことが日本の会社では結構まかりとおっています。もしかしたら、みなさんも似たような出来事に遭遇した経験があるかもしれません。
この「仕事のはじまりの時間に厳しく、終わりの時間にはゆるい」のは、日本企業特有のマインドセットです。朝、数分遅刻しただけでガミガミ怒られるのに、夜は数時間残っていても、怒られるどころか「頑張っているな」と褒められることすらあります。
でも、よく考えてみてください。そもそも各部署でそれぞれやることがちがうのに、朝9時に全社員がそろって出社しても1円にもならないではありませんか。また、だらだらと残業したって生産性が高まるとはとても思えません。会社とは、あくまでも利益を出す場所。これらはまったくもって意味のない行為です。
1人ひとりが疑わなければならない
こういった無意味なルール、無意味な時間の考え方を、いまこそ1人ひとりが疑わなければならないのだと思います。
「それって本当に効率がいいの?」
「これがなにかを生み出しているの?」
「誰かが幸せになるものなの?」
1人ひとりが自覚的に、自らに問いかけることが大切なのです。
「なぜ全社員が同じ時間に出社する必要があるのでしょうか」こんなことを言えば、「現場はもう動いているんだ!」と言い返されるのがオチです。