ウッドショックの激震、住宅木材価格は「平時の4倍」──中小工務店、ハウスメーカーは苦境 購入者への影響は?
ウッドショックがハウスメーカーや中小工務店を直撃している(編集部撮影)
需給の逼迫によって木材価格が平時の数倍に急騰する「ウッドショック」。アメリカで2020年夏ごろからささやかれ始め、日本では2021年3月ごろから表面化した。
「住宅を建築する木材が足りないため、5月ごろから『普段つきあいのない大手メーカーから(柱や梁の継手、仕口の加工を行った)プレカット材の発注が入っている』との話題が業界内で出始めた。ハウスメーカーなどは手当たり次第に発注をかけ、木材取引価格は加工業者の言い値になっている」
国内にあるプレカットメーカー関係者が明かすように、大量の木材を使うハウスメーカーや中小工務店が危機感を募らせている。
木材市場では過去最高値で取り引き
世界的な指標となるシカゴの木材先物市場では5月10日、一時過去最高値の1000ボードフィートあたり1700ドル(18万3600円)を超え、2020年の4倍超となった。IG証券の山口肇リード・ファイナンシャル・ライターは、「年内に需給が緩和する可能性はあるが、しばらくは1200~1500ドルの水準が続く」とみる。
ウッドショックの背景には、住宅ローン金利の低下やテレワークの浸透により、アメリカの住宅需要が拡大したことがある。コンテナ不足や貨物船の減便も重なり、木材の供給網が停滞を余儀なくされたことも需給逼迫に拍車をかけた。
日本では近年、輸入材の増加とともに国産材の供給量が減ってきていた。ウッドショックを受けて国産材を増産しようにもそう簡単にできるわけではない。
日本木材総合情報センターによれば、「梁の材料に使う木材の輸入量は1~4月に前年同期比23%減少して底を打ち、足元では輸入量は増えてきている」(分析担当者)という。ただ、絶対量は圧倒的に不足しており、国土交通省が行った国内の主要建設資材需給・価格動向調査(5月1~5日に実施)によると、木材(製材)の需給状況は「やや逼迫」と判定されている。
地場の中小工務店は苦境に
ウッドショックにより、とくに苦境に陥っているのは地場の中小工務店だ。地場の工務店は国内の戸建て着工数の7~8割を担っている。全国の工務店を会員とする全国工務店協会の坂口岳統括部長は「実際に影響が目立つようになってきたのは今年の3月~4月から。全国的に需給が非常にタイトになった」と語る。
まず、輸入木材が木材加工業者の手元に入荷しない。限られた供給量の中で経営を成り立たせるには、顔なじみの中小工務店より高い値段でも購入してくれる大手メーカーへの出荷を優先せざるをえない。この状況は現在も続いており、中小工務店は資材調達がままならず、追い詰められている。