バイデン政権提唱する法人税の国際最低税率 その内容と影響とは?
国際最低税率はどのように運用するのか
各国が国際最低税率で合意した場合も、各国政府は引き続き自国の法人税率を自由に決めることが可能だ。ただ、企業が特定の国で納めた法人税の税率が低い場合、本国政府は国際最低税率に達するまで追徴課税を課すことができる。このため、利益を租税回避地に移転するメリットがなくなることになる。
バイデン政権は、最低税率に同意しない国に納められた税金について、控除を認めない方針を示している。
OECDは先月、ミニマム税の基本設計について、大まかな合意がすでに成立したことを明らかにしているが、税率については合意に至っていない。国際税制の専門家は、税率の設定が最大の難関だと指摘している。
その他、まだ議論が必要な課題には(1)投資ファンドや不動産投資信託(REIT)といった業界を対象に入れるのか(2)最低税率をいつから導入するのか(3)税源浸食の制限を目的とする2017年の米税制改革とどのように整合性を取るか――といった問題が残されている。
最低税率は何%になるのか
バイデン政権は国内の法人税率を28%に引き上げたい考えで、国際最低税率を現行のGILTI合算課税税率の2倍に相当する21%とすることを提唱している。また課税所得がどこで発生したかにかかわらず、すべての米国企業に最低税率を適用したい考えだ。
米国が提唱する最低税率は、OECDで以前議論された最低税率である12.5%を大幅に上回っている。12.5%はアイルランドの法人税率に等しい。
アイルランドは近年、海外の多国籍企業からの巨額投資で経済が好調に推移している。アイルランド政府は、税制ルールの調和で10年以上前から欧州連合(EU)と対立しており、12.5%を超える国際最低税率をすんなり受け入れる可能性は低い。
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