最新記事

ビットコイン

アメリカでビットコインの未来を決める判断が間もなく下される──スケジュールと見通し

2021年4月28日(水)20時07分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)
ビットコインとカレンダー(イメージ)

MICROSTOCKHUB/ISTOCK

<今後のビットコイン相場を大きく左右する要因として注目される、アメリカでのビットコインETFの可否判断。記事前半ではETFとは何か、なぜビットコインにとって重要なのかを解説した。後半では米当局による判断のスケジュールと、見通しについて見ていく>

記事前半:ビットコイン相場を揺るがす米ETFの行方 承認なら「マスク砲」並みのインパクトが

今年SEC承認はあるのか?

2021年の第1四半期はテスラ砲やNFTブームの影に隠れてあまり注目されませんでしたが、実は、2月と3月に立て続けに北米と南米で初めてビットコインETFが承認されました。

2021年 北米と南米で承認されたビットコインETF

210428_kra02.jpg

(出典:SEC、クラーケン・ジャパン集計)


問題は米国のSECがビットコインETFを承認するかどうかです。日本の金融機関のETF担当者からは、「SECがビットコインETFを承認すれば、日本の金融機関も当局も真剣に検討を始めるのではないか」という話も聞きます。確かにカナダとブラジルの当局による承認は大きな一歩ですが、アメリカ当局によるお墨付きは次元が違うのです。

では今回、SECはビットコインETFを承認するのでしょうか?

記事前半で述べたとおり、SECに申請されているビットコインETFは8つあり、そのうちの2つで審査がスタートしています。1つ目は、米資産マネジメントVanEckが申請したビットコインETFで、SECは3月15日に45日間の審査プロセスをスタートさせました。

同期間中で、SECは申請の承認、却下、審査期間の延長のいずれかの仮決定を行います。つまり、今月中にもSECが上記のうち何らかの判断が出すと見込まれます。もし、延長をする場合でも、最大240日間までと決まっているため、泣いても笑っても11月中頃には最終的な判断がSECによって下されることになります。

SECが過去にビットコインETFを拒否した際に挙げた主な理由は、1934年証券取引所法のとりわけ6条(b)項5が規定する「証券取引所は詐欺や価格操作を妨げるように作られなければならない」という部分と「投資家と公共の利益を保護する」という部分です。

ビットコインETFについてSECは、上記の箇所に関して、コモディティ系のETFが2000年代に登場した時よりも厳しく解釈したと言われています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ、石油パイプライン新設提案「可能性高い」とカ

ワールド

ガザ停戦合意をトランプ氏が支援、イスラエル首相が会

ワールド

プーチン氏「グローバリゼーションは時代遅れ」、新興

ビジネス

5月実質賃金2.9%減、5カ月連続 1年8カ月ぶり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中