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2021年に始める 投資超入門

ひふみ投信・藤野英人「それでも日本の未来を信じ、日本株を買い続ける理由」

BELIEVING IN JAPAN

2021年1月8日(金)18時15分
藤野英人(レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長)

Photo: Courtesy Rheos Capital Works

<日本株はダメだと思われがちだが、大企業が低迷しているだけ――と、投資のカリスマ、藤野英人氏は言う。株式投資の本質から、明るい展望を抱く理由、2021年の相場まで話を聞いた>

(※本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より)

私がファンドマネジャーを務め、わが社で運用する「ひふみ投信」は、2008年の運用開始以来、主に日本の成長企業への投資を続け、今では日本最大規模の日本株のアクティブ投資信託に成長した。
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規模だけでなく成績も好調で、この1年で言えば、東証株価指数(TOPIX)を約18%上回っている。

TOPIXは東証1部上場の全銘柄(約2200銘柄)を対象に算出される株価指数で、日本株全体の値動きを表す。投資信託は一般に、規模が大きくなるとTOPIXを超えられないと言われるが、なぜ「ひふみ」はここまで成長できたのか。

この質問に、私は決まってこう答える。「それは日本経済が好調で、企業がどんどん成長しているからです」

日本には大小約380万の企業があり、約3800社が株式市場に上場している。多くの人の目に入っているのは、このうちの200社程度。テレビCMを出しているような大手の一流企業だ。

今の日本が低成長だと言われるのは、こうした大企業の業績や株価の多くが横ばい、あるいは低迷しているからにほかならない。

それを如実に示しているのが、時価総額が大きく流動性が高い東証1部の上位30銘柄で構成されるTOPIXコア30という株価指数だ。要するに、日本のトップ30社の株価動向を表しているわけだが、これがTOPIXに勝てない。むしろ、TOPIXの足を大きく引っ張っていると言っていい。

アメリカではGAFAM(グーグル、アマゾンなどIT5社)に代表される大企業が先陣を切って成長しているのに、日本では大企業ほど成長していない。

そのせいで日本株はダメだと思われがちだが、伸びていないのは大企業だけで、成長している企業はほかにいくらでもある。年7~8%ずつ伸びている企業も1500~2000社はあるだろう。

ネガティブ要素が日本の強み

では、どういう企業が業績を伸ばしているかと言えば、やはり「お客様の支持が集まっている会社」。社会に対して付加価値を提供し、それによって評価が上がっている企業に投資をすれば、社会もよくなり、自分の懐も温かくなる。

結局のところ、これが株式投資の本質だ。

ただ、こういう話をすると「そんなのは奇麗事で、所詮、株式投資は金で金を得る汚い行為だ」と怒る人がいる。私に言わせれば、その考え方こそが汚いのであり、偏見によって本質を見逃している。

残念ながら、日本ではいまだにトップの経済人の中にも株式市場に否定的な考えの人が多く、それが高潔さの表れのように思われている節すらある。

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