最新記事

2021年に始める 投資超入門

注目の日米「DX・デジタル化」銘柄は? コロナで逆風の業界はどうなる?

2021年1月7日(木)06時35分
安藤智彦(ジャーナリスト)

2021年には効率の悪さをデジタル化で補完する流れが加速する PHOTO ILLUSTRATION BY METAMORWORKS-ISTOCK

<全世界でテレワークが普及し、日本でもDXがキーワードに。一方、観光や航空、外食はどうなるか。2021年注目の投資テーマ、デジタル化。その見通しと代表的な日米銘柄をアナリストに聞いた。本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より>

コロナ禍を追い風に、全世界で普及が進んだテレワーク。

オンライン会議の代名詞となったアプリ「ズーム(Zoom)」を手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価は、2019年末の60ドル台から大きく飛躍、一時600ドル台に迫る勢いを見せた(ファイザーのワクチン開発成功報道後に一時下げた)。
20210112issue_cover200.jpg
ズームのように、テレワークの普及で業績を伸ばしている企業は少なくない。

いずれは手を付けなければならなかったデジタル化、いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)だが、そうした変化が「コロナによって加速した」と、JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは言う。

マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも、「DXのサポートができる企業は強い」と話す。一例として広木氏が挙げるのが、契約書のデジタル化を推進する米ドキュサインだ。

ハンコ文化の根強い日本だけでなく、欧米でも契約の世界には紙の書類が付き物だったが、コロナ禍で対面コミュニケーションが減少。ドキュサインの提供するクラウドベースの電子契約サービスが躍進した。まだ通期の業績は赤字にもかかわらず、1年で株価は約3倍に伸びている。

日本の場合は「導入が遅れていたので尻に火が付いている」というのが、専門家の共通の見立てだ。特定の分野が伸びるというより、「システム化やツールの導入で業務効率化につなげる、あるいはコンサルティングするといった、DXを牽引する企業が恩恵を受けるだろう」(広木氏)。

この領域には富士通やNECのほか、企業の情報システム構築を請け負うシステムインテグレーションを得意とする野村総合研究所や、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューション、オービックなどがひしめき合う。

とりわけデジタル化が遅れてきた学校や官公庁向けも同じ状況だ。「企業のDX導入を指南してきた内田洋行は、学校向けのサービスに力を入れている」と、広木氏は言う。

このようにコロナ禍はデジタル化を担う産業には追い風となったが、逆に大きなダメージを受けた観光や航空、外食などはどうか。

transaction_accounts_superbanner.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否 ネト

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も

ビジネス

EU、炭素国境調整措置を強化へ 草案を正式発表

ワールド

インドネシア中銀、3会合連続金利据え置き ルピア支
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中