最新記事

教育

倒産する大学の4つの特徴:地方、小規模、名称変更、そして...

2018年12月3日(月)10時25分
松野 弘(社会学者、大学未来総合研究所所長)

iconeer-iStock.

<「大学大倒産」時代となっているが、つぶれる大学にはそれなりの理由と傾向がある。大学はなぜ、つぶれるのか(大学倒産・後編)>

※前編:忍び寄る「大学倒産」危機 2000年以降すでに14校が倒産している

大学がつぶれるにはそれなりの理由がある。大学「倒産」に至る理由には、(1)立地条件の悪さ、(2)受験生に対する市場調査の甘さ、(3)経営力の欠如、(4)「教育」と「研究」の質の低さなどがあげられる。ここで取り上げる大学は、大半がこのような課題を抱えているにもかかわらず、設置を認められ運営してきた。その結果が倒産である。

前回挙げた14校の大学はなぜ、「倒産」したのか。各大学の特徴を改めてよく見ると、いくつかの共通点が浮かび上がってくる。

まず気づくのは、設立からあまり年数が経っていない大学が多いということである。14大学のうち9大学が2000年以降の設立である。1999年設立の大学も2校ある。歴史が浅いということは、ブランドイメージが低いという言い方もできるだろう。

大学に限らず、ブランドイメージは長い年月をかけて創り上げられるものである。もっとも、2017年に閉学した東京女学館大学は、大学の設立こそ2002年だが、創設が明治期に遡る名門中学・高校のブランド力を背景に設立されており、ここに挙げた大学の全てのブランドイメージが低いわけではないことを申し添えておく。

ただ、大学運営と小・中・高の運営は基本的に異なることは留意しておく必要がある。大学は高等教育機関における最高学府としての「質」が確保されなければ、大学として存続させることはきわめて困難である。

また、ブランドイメージに関連する特徴として、大学名を変更している大学も目に付く。企業名やさまざまなサービス名にも言えることだが、名称を変更することは新鮮なイメージを与える反面、それまで蓄積してきたイメージをリセットするリスクを伴う。社会が納得するような明確な理由がない名称変更は、大学そのものの信頼度を下げることにも繋がりかねない。

下の表は、この10年以内に大学名を変更した大学の一覧である。これを見て読者の皆さんはどのような印象を受けるだろうか。

大学名の変更

matsuno181201-b-chart.png
(出所:文部科学省ホームページ「大学等の名称変更など」をもとに筆者が作成)


単科大学が経営面で弱くなる理由

次に、学部が1つだけの大学、いわゆる単科大学が多いことも特徴である。今回取り上げた14大学のうち13大学が単科大学だ。

これはすなわち、規模が小さい大学ということのみならず、1つしかない学部に学生が集まらなかった場合、別の学部で入学者数をカバーすることができないという経営面での弱みをも意味する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ビットコイン下げ止まらず7万ドル割れ、24年11月

ビジネス

米人員削減1月に急増、17年ぶり水準 UPSやアマ

ビジネス

英中銀が金利据え置き決定、5対4の僅差 今後利下げ

ワールド

中国外相、キューバ外相と会談 国家主権と安全保障を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 9
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 10
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中