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日本の大学は「レジャーランド」だからダメなのか?

2015年12月22日(火)17時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

 また大学卒業の学位(学士)の質を担保するために、学生にもっと勉強させようという方針も打ち出されている(中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」2008年12月)。そのためかどうかはわからないが、日本の学生生活もいささか変化してきている。<表2>は、2001年からの10年間で、大学生の1日(平日)の行動時間がどう変化したかを調べたものだ。合計は1440分(24時間)である。

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 学業(勉強)の時間が増え、テレビ等の視聴時間が減っている。若者の「テレビ離れ」が進んでいるのがわかる。交際・付き合いの時間も減少している。休養・くつろぎの時間が増加しているのと合わせて考えると、ひとりでいたいという学生が増えているのかもしれない。こうした変化は、大学生の「マジメ化・ウチ化」現象と呼ばれている。

 これは歓迎すべき傾向かもしれない。しかし国際的にみると日本の大学生の勉強時間はまだまだ短い。国内で見ても小・中・高校生より大学生が勉強しないとは何事かと、さらに批判されることは想像に難くない。

 大学教育を充実させる方向は誤りではないが、それ一辺倒になるのも行き過ぎだろう。青年期は自己アイデンティティの確立を期待され、いろいろな試行錯誤をする自由(時間)を与えられた「モラトリアム」の時期でもある。大学進学率が50%を超える日本では、大学がその機能を果たしている。大学の「中学・高校化」をやたらと押し進めるのは、青年期の人間形成にとって好ましいとはいえない。

 今年6月に、国立大学の文系学部の廃止を求める通知が出されたが、改革とはいえあまりに極端に走るのもどうだろうか。大学教育の現状を完全に否定するのは、明らかに暴挙だ。既存の良い部分も残しながら少しずつ改善を加えるのが、あるべき姿ではないだろうか。

<資料:内閣府『わが国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)
総務省『社会生活基本調査』

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