最新記事

資金調達

クラウドファンディングの「DREIM」モデルとは何か

約60%が失敗するからこそ、プロジェクトに合った正しいモデルとやり方を知らなければならない

2015年8月3日(月)19時00分
クリス・バッキンガム ※Dialogue Review Mar/May 2015より転載

Shutterstock/Laura Hawkins

 クラウドファンディングという言葉は、さまざまなケースで使われるが、はっきりしているのは、そのコンセプトには二通りあるということ。一般消費者による利用(たとえば車を購入するための資金調達など)と、プロジェクトの資金調達だ。

 前者の「個人融資」にあたるクラウドファンディングには、三つのモデルがある。「長期」と「短期」、そしてその両者を組み合わせた「長期プラス」だ。

「長期」モデルは、およそ3年から5年くらいの長期にわたり資金を借り、大手銀行の水準の金利で返済する。「長期プラス」も、「長期」モデルと同様、長期間貸し出すが、貸し手が借り手をハイリスクと判断するために金利が高く設定される。「短期」モデルは、高い金利での短期間の貸し付けだ。

左が「個人融資」で、長期、長期プラス、短期の3モデルがあり、右の「プロジェクトの資金調達」には5モデルがある

左が「個人融資」で、長期、長期プラス、短期の3モデルがあり、右の「プロジェクトの資金調達」には5モデルがある


 ここでは、後者の「プロジェクトの資金調達」にクラウドファンディングを利用するケースに焦点を当てる。

 クラウドファンディングを利用しようとするプロジェクトは、限定的な目標を達成したら解散するような、短命のものが多い。しかし、巨額の資金調達を目指すものから、きわめて限定的な目的のものまで、その規模はさまざまだ。

 プロジェクトの資金調達におけるモデルには5種類ある。私は、それぞれの頭文字をつなげて「DREIM」と呼んでいる。

1.寄付(Donation):そのままの意味。慈善事業である。
2.見返り(Reward):資金提供者は、見返りとして何らかのギフトを受け取る。
3.(Equity):クラウドによる資金提供に対し、株式を発行する。
4.利子(Interest):既存の会社によるクラウドファンディングの場合、利子を伴う通常の借り入れの形で行なわれることもある。
5.ミックス(Mixed):「見返り」モデルと「株」モデル、あるいは「見返り」モデルと「利子」モデルの組み合わせ。

 DREIMの5モデルそれぞれの特徴を知っておくことは、クラウドファンディングを実施するうえで非常に重要だ。実際、多くの要素を考慮に入れる必要があり、プロジェクトに最適なモデルを選択するのはたやすいことではない。たとえば、ビジネスモデルとどう関連するか、資金提供者に事業を通じてどのような価値を提供できるか、資金提供者がプロジェクトに対してどんな印象を抱くか、といった要素である。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾閣僚、「中国は武力行使を準備」 陥落すればアジ

ワールド

米控訴裁、中南米4カ国からの移民の保護取り消しを支

ワールド

アングル:米保守派カーク氏殺害の疑い ユタ州在住の

ワールド

米トランプ政権、子ども死亡25例を「新型コロナワク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「AIで十分」事務職が減少...日本企業に人材採用抑制…
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 7
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中