最新記事

経済

原油価格決定のカギはあの国が握る

2015年2月16日(月)18時11分
ジョーダン・ワイスマン

 専門家の間には、アメリカが新たな「スイング・プロデューサー」になったとの声もある。需給の変化に応じて生産を増減して市場の動向を決め、原油価格の急騰や急落を阻止する重要な役割で、従来はサウジアラビアがこれを担っていた。

 とはいえ、サウジアラビアは常にその役目を果たすわけではない。昨年、アメリカのシェールオイル生産増大に伴って原油価格が下落していたときも、生産を減らさなかった。下落が止まらなくなったのはそれからだ。

 サウジアラビアとしては、原油安で北極海の油田開発などへの投資が鈍れば、将来的に価格は上がると判断したのだろう。自国の生産減は、アメリカの生産増を意味すると考えた上での行動だった可能性もある。

 だが、アメリカの掘削規模は逆に縮小している。今や調整役を担っているのはアメリカだ。

 あるいは「それに近い役目」と言うべきか。サウジアラビアと違い、アメリカに国営石油会社は存在しない。国内にひしめく小規模採掘業者は市場の動きに反応するだけで、下落を見越して先手を打ったりはしない。

 掘削装置の稼働数は急減していても、実際に産出量が減るまでには時間がかかる。その一方で石油備蓄量は増え続け、おかげで原油価格がさらに下がる恐れがある。

 果たして希望の光は消えるのか、残るのか......。

© 2015, Slate

[2015年2月17日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏サービスPMI、12月50.1に低下 国内政治が

ビジネス

独BMW、第4四半期の米販売台数が3.4%減 EV

ワールド

アングル:AI投資絡むインフレ、市場が見過ごす今年

ワールド

アングル:今年はバリュー投資が活発化か、AIバブル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 5
    スペイン首相、アメリカのベネズエラ攻撃を「国際法…
  • 6
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 7
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 8
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中