最新記事

自動車

逆境の日産リーフを救う「99」の魔法

電気自動車の未来を悲観する声が広がっているが、抜群の高燃費が消費者を引きつけるはず

2010年11月25日(木)16時19分
スティーブ・レバイン

いよいよ発売 リーフは消費者に受け入れられるか Jessica Rinaldi-Reuters

 世界的な電気自動車開発レースに来月、2種類の注目の新車が登場する。日産自動車の電気自動車「リーフ」と、ゼネラルモーターズ(GM)のプラグインハイブリッドカー「シボレー・ボルト」だ。米環境保護局(EPA)は、リーフの燃費を1ガロン当たり99マイル(1リットル当たり約42キロメートル)と公式に認定した。

 今後数十年間に電気自動車が市場を席巻するという当初の楽観論は、この数カ月間の悲観論の大合唱で吹き飛ばされそうになっている。電気自動車とハイブリットカーが多量の電力を充電することで、電力網が麻痺するというのだ。

 バラク・オバマ米大統領をはじめ、ヨーロッパの多くの国や日本、中国の指導者は消費者の何歩も先を行き過ぎている、と英エコノミスト誌は警告する。USニュース誌も、職場から自宅に帰る途中で動かなくなるような車を買う人はまずいない、と指摘する。

 経済ニュースサイトの24/7ウォールストリートのダグラス・マッキンタイアは「電気自動車をはじめとする低排出ガス車で高速道路がいっぱいになるという夢は、希望でしかないのかもしれない」
と書いている。
 
 それでも、1ガロン99マイルという数字(ガソリン1ガロンが33.7キロワット時に相当するというEPAの計算式に基づいている)を聞いて、私の見方は変わった。

 ショールームで数々の車のデザインを見比べて吟味した経験は誰にでもあるだろうが、最期は車体価格と、一番大事なメンテナンス費、つまり燃費の表示に厳しい視線を送るものだ。

 消費者心理を予想するのは難しいが、99という数字が28や36とは大違いなのは間違いない。GMのシボレー・ボルトの燃費も、1ガロン当たり60マイル(1リットル当たり約25キロメートル)と認定された。これなら、多くの消費者が注目すると思う。

 フィナンシャル・タイムズ紙のエド・クルックスは、電子自動車開発に投じた50億ドルの正当性を示せたとして、日産のカルロス・ゴーンCEOはすでにウイニングランを始めている、と書いた。

 それはやや時期尚早だ。それでも、99に注意を払おう。大きな意味のある数字だから。

[米国東部時間2010年11月23日(火)11時14分更新]
Reprinted with permission from "The Oil and the Glory," 25/11/2010. © 2010 by The Washington Post Company

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、イランとの協議順調 紛争費用負担でアラブ諸国に

ワールド

米、ベネズエラ大使館を再開 外交関係の再構築が進展

ビジネス

ECB、「インフレ期待が漂流」なら迅速に対応=ギリ

ワールド

トルコ領空にイラン発射の弾道ミサイル、NATO迎撃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中