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自動車トヨタが見捨てたNUMMIに救世主
トヨタが閉鎖を決めた伝説的工場NUMMIの施設と労働者をぜひとも引き継ぎたいというベンチャー企業の正体は?
失業せずにすむかも NUMMI閉鎖に抗議する労働者(2月12日、カリフォルニア州フリーモント) Robert Galbraith-Reuters
米ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ボブ・ハーバートが3月15日付けのコラムでトヨタをこき下ろしている。大量リコールのせいでもその結果浮上したトヨタのさまざまな問題のせいでもない。トヨタの成功に大きく貢献してきたカリフォルニア州に対して、恩知らずな行動を取っていると思ったからだ。
トヨタは最も恥ずべき形でカリフォルニア州に対する恩を仇で返そうとしている。
トヨタはカローラやピックアップトラックのタコマを生産してきた同州フリーモントの組立工場の閉鎖を計画している。景気後退で雇用状況が最も悪化しているこの時に、同工場の閉鎖によって技術力の高い献身的な熟練労働者4700人が職を失うことになるだろう。さらに州内のいたるところで2万人近い関連産業の雇用を脅かす可能性もある。
このフリーモントの工場は、日米自動車産業の競争と協調のシンボルとなり、ある意味業界の伝説ともいえる「ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング(NUMMI=ヌーミー)」として知られている。
同工場は、80年代にトヨタとGM(ゼネラル・モーターズ)が折半出資で設立。GMはトヨタから効率的な生産方式を学び、対するトヨタはGMから......何を学んだかはさておき、カリフォルニアで自動車生産にいそしんだ。
ハーバートがNUMMIの5000人近い労働者の肩を持つのはもっともだが、彼は重大なニュースを見逃している。電気動車開発会社アウリカ・モーターズがNUMMIを引き継ぎ、電気自動車の生産工場として再生させ、労働者を再教育して雇用し続ける意向を示していることだ。実現のためには政府による資金援助と、工場施設の大改造に2年ほどの時間が必要になる。
マルチモーターの電気自動車を計画
ハーバートはこのニュースを知らなかったのか、あるいは知っていてもあまりに非現実的と考えたのか。いずれにしろニューヨーク・タイムズには、アウリカの提案を記事にする気はなさそうだ。確かにアウリカは電気自動車のベンチャーのなかでもより知られていない部類だが、エコ・ブロガーたちの世界は今、この無名企業の話題で持ちきりだ。
もちろん、カリフォルニアでトヨタが生産を続けられるに越したことはない。だがそれが不可能だとしたら、政府は少なくともアウリカの提案を検討してもいいはずだ。
アウリカの計画の中には、各タイヤにモーターを備え、交換可能なバッテリーで動く自動車の生産も含まれる。ベンチャー企業のベター・プレース社によって有名になった戦略だ。充電は家庭用コンセントも使えるプラグイン方式だ。
交換可能バッテリーはともかく、マルチモーター自動車は効率を高め、燃費を向上させるだろう。加えてアウリカの電気自動車は多用途にデザインされ、外観も優れている。何より、アウリカの戦略は1車種に限定されない。小型車からセダン、SUV、ピックアップトラックまで製造する計画だ。多様な車種で競争することで、成功のチャンスも広がるだろう。
ただしそれには、NUMMIのような施設とNUMMIで働いてきたような熟練労働者の力が不可欠だ。
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