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【6】世界に広がる量的緩和。
リョウテキカンワが世界で流行する兆しがあるという。いったい何のこと?
量的緩和とは、国の中央銀行が景気回復を目指して世間に出回る「お金の量」を激増させること。金利がゼロまで下がった後も量を増やし続けるのがミソだ。奥の手ともいえる金融政策で、日銀が01〜06年に実施した。
中央銀行は普通、不景気になると金利を引き下げる。すると住宅ローンや企業向け融資の金利もつられて下がり、国民がお金を借りやすくなる。こうした利下げの究極の姿が「ゼロ金利政策」。銀行同士が貸し借りする金利を0%まで引き下げることだ。
だが景気がうんと悪化しても金利をゼロ以下にはできない。そこで量的緩和の登場となる。「量的」と付くのは、金利ではなく資金の量に注目するためだ。
量の増やし方はさまざま。たとえば銀行の持つ国債(国の借用書)を買い取る形でお金を渡す。あるいは社債を買い取る。そうやって世間に出回る資金の量を増やすことで経済を活性化させる効果があるという。
最近アメリカやイギリスの中央銀行が相次いで量的緩和に踏み切っている。金利がゼロに近づいて引き下げる余地がほぼなくなったためだ。日銀も前回とは形が違うが事実上の量的緩和を始めたといわれる。これでついに世界不況も終わるのか。
そううまくいくとは限らない。前回の日本のケースでは評価が分かれたし、今回の英米の場合も、銀行の体力が弱っているため貸し出しを増やす余裕はないといわれる。中央銀行が社債を買えば、企業がつぶれたときに損失を被ることにもなる。量的緩和は魔法の杖ではない。
[2009年4月15日号掲載]