最新記事

【6】世界に広がる量的緩和。

ウラ読み世界経済ゼミ

本誌特集「世界経済『超』入門」が
さらによくわかる基礎知識

2010.04.12

ニューストピックス

【6】世界に広がる量的緩和。

2010年4月12日(月)12時09分

リョウテキカンワが世界で流行する兆しがあるという。いったい何のこと?

 量的緩和とは、国の中央銀行が景気回復を目指して世間に出回る「お金の量」を激増させること。金利がゼロまで下がった後も量を増やし続けるのがミソだ。奥の手ともいえる金融政策で、日銀が01〜06年に実施した。

 中央銀行は普通、不景気になると金利を引き下げる。すると住宅ローンや企業向け融資の金利もつられて下がり、国民がお金を借りやすくなる。こうした利下げの究極の姿が「ゼロ金利政策」。銀行同士が貸し借りする金利を0%まで引き下げることだ。

 だが景気がうんと悪化しても金利をゼロ以下にはできない。そこで量的緩和の登場となる。「量的」と付くのは、金利ではなく資金の量に注目するためだ。

 量の増やし方はさまざま。たとえば銀行の持つ国債(国の借用書)を買い取る形でお金を渡す。あるいは社債を買い取る。そうやって世間に出回る資金の量を増やすことで経済を活性化させる効果があるという。

 最近アメリカやイギリスの中央銀行が相次いで量的緩和に踏み切っている。金利がゼロに近づいて引き下げる余地がほぼなくなったためだ。日銀も前回とは形が違うが事実上の量的緩和を始めたといわれる。これでついに世界不況も終わるのか。

 そううまくいくとは限らない。前回の日本のケースでは評価が分かれたし、今回の英米の場合も、銀行の体力が弱っているため貸し出しを増やす余裕はないといわれる。中央銀行が社債を買えば、企業がつぶれたときに損失を被ることにもなる。量的緩和は魔法の杖ではない。 

[2009年4月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フランス産ワイン・蒸留酒輸出、貿易摩擦の影響で3年

ビジネス

韓国当局、個人情報流出のクーパンにシステムの脆弱性

ビジネス

ホンダが通期純利益予想を維持、4─12月期は42%

ビジネス

丸紅の時価総額が10兆円に、27年度末目標より早期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中