最新記事

江原啓之(1964-)

インタビュー ザ・日本人

昭和天皇、渥美清、宮崎駿から
柳井正、小沢一郎、二宮和也まで

2010.01.21

ニューストピックス

江原啓之(1964-)

「科学がすべてと思うのは、科学という信仰の妄信」

2010年1月21日(木)12時00分
大橋 希、コリン・ジョイス

 「スピリチュアル(霊的な)」という言葉を使ってオーラや守護霊の存在を説き、「心霊」の恐ろしげなイメージを払拭するのに一役買った江原啓之。魂は再生し、現世は魂の学びの場であるという江原の考えは、女性を中心に広く受け入れられている。

 一方、目に見えない世界を絶対の真理のように説いているといった批判もある。本誌・大橋希とコリン・ジョイスが話を聞いた。


----スピリチュアルの世界が今、注目される理由は。

 今の日本では何も信じられない。政治家や企業の不祥事が数々あり、テレビの捏造事件も起きた。宗教も、宗教団体という組織を大切にするばかりで哲学を伝えきれていない。

 核家族化した社会では、次世代に「こう生きるべき」というアドバイスもできない。自分の心眼だけが頼りの時代に、私が説くスピリチュアリズムが納得できる人生指針になっているのだと思う。

 でも私は、それにすがって生きろとか、オカルトにはまれとは言っていません。新たな視野、哲学、常識をもちなさいと言っているだけ。むしろ、霊能者を撲滅しようと言っているんです。

----いつか自分の役割を終えたいということか。

 私がこういうことをやらなくてすむなら、理想的ですよ。私は、スピリチュアルな世界を福祉や教育に生かし、生きる知恵として残していくべきだと思っている。

 テレビ番組で霊視をやるのは、目に見えない世界をデモンストレーションしなくてはならないから。客引き、商売と思われるのは本意ではないので、現在、個人のカウンセリングはやめています。霊視は公の場でやるだけです。

----芸能人の霊視は、事前にリサーチができると思うが。

 そう思う人は思ってもらってもいいです。でも、『天国からの手紙』という(一般人が登場する)番組もやっているし、公演で公開カウンセリングもしている。実際の放送現場はリサーチしている暇なんてないですよ。

----私は霊的世界を信じていない。

 いいですよ。個人の自由なので。

----信じない人は魂のレベルが低いとか?

 そんなことはひと言も言ってません。私の本は全部読みました?

----全部は読んでいないが。

 私のことを取材するなら、私の本を読まないで雑誌の情報だけをうのみにするのは困ります。

----著書に書いてあることは昔ながらの知恵や道徳と変わりがない。

 そうです。ただ、そうした知恵には定義がない。皆さんが「いい言葉だ」と受け取っているものを、私は魂の世界で定義している。

 こう言うと、「では霊を見せろ」という話になるが、それは無理。心のものは心の目でないと見えないし、何を見せても「裏があるんだろう」と言われる。信じなければそれまでです。

 でも私は、(霊界を)否定する人も嫌いじゃない。そういう人のほうが理性的とさえ思う。ただ、死期が迫っていたり、どうにもならない状況に陥っている人は、人生の意味を真剣に考える。信じない人は現世的に幸せなんだと思う。

----「本当は前世や守護霊はどうでもいい」と言うのは、自己否定にならないか? 「見える」ことで、あなたはあなたであるのでは。

 えー、違いますよ。(霊が)いることさえ理解していればいい。大切なのは、私たちはなぜ生まれてきたのかという教訓の部分。私は自分の前世も守護霊もわかるが、だから何? という話です。

----私たちの守護霊は見えるか。

 見ようとしなければ見えません。(霊界から)見せられることもあるが、必要なとき以外そういう話はしません。それがどうして、自己否定になるのかわかりません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

11月ショッピングセンター売上高は前年比6.2%増

ビジネス

中国の海外ブランド携帯電話出荷台数、11月は128

ワールド

日経平均は小反発、クリスマスで薄商い 売買代金は今

ワールド

タイ11月輸出、予想下回る前年比7.1%増 対米輸
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中