最新記事

新型インフルエンザ大流行

本誌が選ぶ10大ニュース

イラン、インフル、ノーベル賞・・・
2009年最もお騒がせだったのは?

2009.12.22

ニューストピックス

新型インフルエンザ大流行

豚インフルエンザの発生が4月にメキシコで確認されて以後、世界各国に感染が拡大し、年末までに約1万人が死亡した

2009年12月22日(火)12時06分
クロディア・カルブ


敵は新型インフルか、ニセ情報か

ワクチン接種は危険? デマに悩む米当局がPR大作戦を展開中


 新型インフルエンザの脅威はまだ去りそうにない。

 米政府の最新の統計によれば、アメリカでの感染地域は米50州のうち46州に拡大している。死者数は1000人(うち約100人が児童)を超え、入院患者は2万人以上。今後数週間で、その数がさらに増えることはほぼ確実だ。

 こうした状況を受け、バラク・オバマ大統領は10月24日、新型インフルエンザを国家非常事態に指定した。

 当局の広報活動も今春の新型インフルエンザの流行開始以来、非常事態に入りっ放しだ。予測不能な新手のインフルエンザの流行に直面した米政府は「大災害モード」に突入。メディアで警戒情報を大量に流し、当局高官による記者会見を何度も開いてきた。

 政府の広報担当者たちにとって、新型インフル対策は当初から難問続きだった。国民に恐怖心を与えずに情報を伝えるにはどうするべきか。ただでさえわが子が受ける予防接種の種類の多さに懸念を抱いている親たちに、ワクチン接種の有効性を納得させるにはどうしたらいいか。インターネット上で流布するデマ交じりの情報のなかから、どうやって事実をふるい分けるか。

 iPhoneもテレビもなかった昔、情報伝達はポスターやパンフレットが頼りだった。だが21世紀の今、米厚生省や疾病対策センター(CDC)はホワイトハウスや各政府機関の協力の下、オンラインセミナーやソーシャル・ネットワーキング・サービスのフェースブック、ポッドキャストやYouTubeを活用して広報に努めている。

 CDCは健康情報サイト「ウェブMD」と手を組んで新型インフル関連のブログを開設。フェースブックに新設したページには4月以来、3万人の「ファン」が登録し、CDCの新型インフル情報メールの購読者は24万4000人に達している。

 CDCの社会メディア班(緊急情報担当)の責任者アン・エイキンによれば、CDC内に社会メディア班が誕生したのは2年半ほど前。「以来、急速に拡大している」という。

 同班は08年9月から問題化したサルモネラ菌による食中毒被害に、厚生省や米食品医薬品局(FDA)と協力して対処したことを契機に米政府の公式な非常事態対策チームに組み込まれた。「(チームの一員として)初めて遭遇した非常事態が新型インフルの流行だ」と、エイキンは言う。

 新型インフルやワクチン接種への理解を求める政府の努力もむなしく、市民の反応はまちまちだ。ハーバード大学が10月上旬に発表した世論調査の結果によれば、新型インフルワクチンは「大半の人にとって」極めて安全性が高いと考える人の割合は約3分の1にすぎなかった。

 10月中旬に行われたワシントン・ポスト紙とABCニュースの共同世論調査では、自分や家族が新型インフルに感染することを「かなり」または「ある程度」懸念している人の割合は52%(8月の調査では39%)に上ったが、わが子にワクチン接種を受けさせる予定だと回答した親は半数にとどまった。

 もちろん、各地の診療所前の行列を見れば分かるように、ワクチンを接種して不安を解消しようという人も多い。その一方で、「新型インフル疲労症」に襲われている人がいるのも確か。彼らに言わせれば、メディアの大騒ぎにはもううんざり。ワクチン接種など願い下げだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、湾岸のエネ施設へ報復警告 トランプ氏に反発

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

G7、エネ供給支援へ必要な措置講じる用意 外相声明

ワールド

トランプ氏、米空港にICE捜査官派遣と警告 予算巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 7
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 8
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 9
    トランプ政権の「大本営」、イラン戦争を批判的に報…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中