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2009年最もお騒がせだったのは?
2009年最もお騒がせだったのは?
新型インフルエンザ大流行
豚インフルエンザの発生が4月にメキシコで確認されて以後、世界各国に感染が拡大し、年末までに約1万人が死亡した
敵は新型インフルか、ニセ情報か
ワクチン接種は危険? デマに悩む米当局がPR大作戦を展開中
新型インフルエンザの脅威はまだ去りそうにない。
米政府の最新の統計によれば、アメリカでの感染地域は米50州のうち46州に拡大している。死者数は1000人(うち約100人が児童)を超え、入院患者は2万人以上。今後数週間で、その数がさらに増えることはほぼ確実だ。
こうした状況を受け、バラク・オバマ大統領は10月24日、新型インフルエンザを国家非常事態に指定した。
当局の広報活動も今春の新型インフルエンザの流行開始以来、非常事態に入りっ放しだ。予測不能な新手のインフルエンザの流行に直面した米政府は「大災害モード」に突入。メディアで警戒情報を大量に流し、当局高官による記者会見を何度も開いてきた。
政府の広報担当者たちにとって、新型インフル対策は当初から難問続きだった。国民に恐怖心を与えずに情報を伝えるにはどうするべきか。ただでさえわが子が受ける予防接種の種類の多さに懸念を抱いている親たちに、ワクチン接種の有効性を納得させるにはどうしたらいいか。インターネット上で流布するデマ交じりの情報のなかから、どうやって事実をふるい分けるか。
iPhoneもテレビもなかった昔、情報伝達はポスターやパンフレットが頼りだった。だが21世紀の今、米厚生省や疾病対策センター(CDC)はホワイトハウスや各政府機関の協力の下、オンラインセミナーやソーシャル・ネットワーキング・サービスのフェースブック、ポッドキャストやYouTubeを活用して広報に努めている。
CDCは健康情報サイト「ウェブMD」と手を組んで新型インフル関連のブログを開設。フェースブックに新設したページには4月以来、3万人の「ファン」が登録し、CDCの新型インフル情報メールの購読者は24万4000人に達している。
CDCの社会メディア班(緊急情報担当)の責任者アン・エイキンによれば、CDC内に社会メディア班が誕生したのは2年半ほど前。「以来、急速に拡大している」という。
同班は08年9月から問題化したサルモネラ菌による食中毒被害に、厚生省や米食品医薬品局(FDA)と協力して対処したことを契機に米政府の公式な非常事態対策チームに組み込まれた。「(チームの一員として)初めて遭遇した非常事態が新型インフルの流行だ」と、エイキンは言う。
新型インフルやワクチン接種への理解を求める政府の努力もむなしく、市民の反応はまちまちだ。ハーバード大学が10月上旬に発表した世論調査の結果によれば、新型インフルワクチンは「大半の人にとって」極めて安全性が高いと考える人の割合は約3分の1にすぎなかった。
10月中旬に行われたワシントン・ポスト紙とABCニュースの共同世論調査では、自分や家族が新型インフルに感染することを「かなり」または「ある程度」懸念している人の割合は52%(8月の調査では39%)に上ったが、わが子にワクチン接種を受けさせる予定だと回答した親は半数にとどまった。
もちろん、各地の診療所前の行列を見れば分かるように、ワクチンを接種して不安を解消しようという人も多い。その一方で、「新型インフル疲労症」に襲われている人がいるのも確か。彼らに言わせれば、メディアの大騒ぎにはもううんざり。ワクチン接種など願い下げだ。