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桜咲く平安神宮で極上の演奏体験
季節感や演奏環境を重視する日本の感性を再認識
日本では野外公演が多い。なかでも印象的だったのは、04年4月に平安神宮で行った演奏会。桜が咲く庭を夜にライトアップして、池に囲まれた建物で演奏した。ホールとは違って、自然の中に観客が紛れ込んでいる感じ。演奏も観客のためというより、すごい環境で自分のために弾いているような感覚だった。
日本人は単に曲を弾くのではなく、季節や場所に曲がマッチしているか考える。平安神宮で演奏するのも、その空間で音楽を聴くことを大事に考えているから。来日したばかりのころは、その感覚がわからなくて、春なのに秋の曲を選んだりした。「なぜ季節が関係あるの?」という感じで。でもしだいに、自分の音楽と環境の関係を考えるようになった。
あとビックリしたのは、日本の祭り。自主的に行っているところがすごい。北朝鮮のように強制されてやるわけではないし、お金を儲けるためでもない。だからこそ美しいと思う。目に見えない大事なものがあると感じさせてくれる。
銀座でも以前、祭りを見かけた。大通りを通行止めにして、小さい通りにも椅子を出して、抹茶をたてたり。浅草ではなく銀座というのがすごい。欧米の店ばかりが立ち並ぶ街でも、日本文化が力強く生きている。常に新しい文化を吸収しながら、自国の文化も失っていない象徴だ。
中国も、唐の時代はそうだった。長安(今の西安)の都に世界中から人が集まって、そこでさまざまな文化を取り入れた。そういうことは、経済的にも精神的にも体力がある国でなくてはできないと思う。
<Profile>
賈鵬芳 ジャー・パンファン
中国出身の二胡奏者。10月21日には来日20周年記念コンサートDVD付きの最新アルバム『FRIENDS/朋友』(PACIFIC MOONレーベルより)をリリース予定。
http://www.jia-pengfang.com/
[2005年3月 9日号掲載]