最新記事

桜咲く平安神宮で極上の演奏体験

外国人の
ジャパンガイド

相撲の朝稽古から鉄道、
秘湯、お遍路まで
日本人の知らない日本の旅し方

2009.09.16

ニューストピックス

桜咲く平安神宮で極上の演奏体験

季節感や演奏環境を重視する日本の感性を再認識

2009年9月16日(水)10時55分
賈鵬芳(ジャー・パンファン、二胡奏者)

 日本では野外公演が多い。なかでも印象的だったのは、04年4月に平安神宮で行った演奏会。桜が咲く庭を夜にライトアップして、池に囲まれた建物で演奏した。ホールとは違って、自然の中に観客が紛れ込んでいる感じ。演奏も観客のためというより、すごい環境で自分のために弾いているような感覚だった。

 日本人は単に曲を弾くのではなく、季節や場所に曲がマッチしているか考える。平安神宮で演奏するのも、その空間で音楽を聴くことを大事に考えているから。来日したばかりのころは、その感覚がわからなくて、春なのに秋の曲を選んだりした。「なぜ季節が関係あるの?」という感じで。でもしだいに、自分の音楽と環境の関係を考えるようになった。

 あとビックリしたのは、日本の祭り。自主的に行っているところがすごい。北朝鮮のように強制されてやるわけではないし、お金を儲けるためでもない。だからこそ美しいと思う。目に見えない大事なものがあると感じさせてくれる。

 銀座でも以前、祭りを見かけた。大通りを通行止めにして、小さい通りにも椅子を出して、抹茶をたてたり。浅草ではなく銀座というのがすごい。欧米の店ばかりが立ち並ぶ街でも、日本文化が力強く生きている。常に新しい文化を吸収しながら、自国の文化も失っていない象徴だ。

 中国も、唐の時代はそうだった。長安(今の西安)の都に世界中から人が集まって、そこでさまざまな文化を取り入れた。そういうことは、経済的にも精神的にも体力がある国でなくてはできないと思う。

<Profile>
賈鵬芳 ジャー・パンファン
中国出身の二胡奏者。10月21日には来日20周年記念コンサートDVD付きの最新アルバム『FRIENDS/朋友』(PACIFIC MOONレーベルより)をリリース予定。
http://www.jia-pengfang.com/

[2005年3月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ大統領、強制送還移民受け入れの用意 トラン

ビジネス

Temuの中国PDD、第3四半期は売上高と利益が予

ビジネス

10月全国消費者物価(除く生鮮)は前年比+2.3%

ワールド

ノルウェーGDP、第3四半期は前期比+0.5% 予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中