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天然ガス自動車を普及させればエネルギー問題は一気に解決できる
三つの重要な課題が次期オバマ政権を待ち受けている。経済、安全保障、そしてエネルギーだ。
このなかで唯一、政府が単独で対策を講じられるのがエネルギー問題。行動を起こせばすぐに直接的な効果を得られるし、ほかの二つ(経済と安全保障)に影響を及ぼす唯一の問題でもある。私の意見はこうだ。このエネルギー問題は天然ガスに重点的に取り組めば解決できる----。
バラク・オバマ次期大統領にとって、新たなエネルギー政策を練るうえで最大の障壁になるのは「チープオイル」だろう。「チープ」の定義は変化した。原油価格が1バレル=50ドルを下回っていた2年前は、それを「安い」と思う人はいなかった。だが08年夏に150ドル近くまで高騰した後は、ドライバーは今の価格でさえ喜んでいる。
原油の高騰でもなければ、アメリカは真剣に石油問題には取り組まない。環境保護の運動が本当の力を発揮したのは、ガソリン価格が1ガロン(約3・8リットル)=4ドルを突破してからだった。
最近の原油価格の下落は一時的なものだと、私はみている。世界経済が立ち直り、需要が伸びれば価格はいずれ再び上昇する。著名なジャーナリスト、トーマス・フリードマンが新著『温暖化、フラット化、人口増加』で述べたように、今後も東欧、中南米、アジアでは中流層が拡大し続け、「アメリカ的なライフスタイル」を求めるだろう。そうなれば莫大なエネルギーが必要になる。
ガレージで燃料を補給
アメリカは現在、石油の70%を輸入に頼っている。その費用は原油価格の変動により、年間3500億〜7000億ドル。2010年の中間選挙までに経済を活性化したいなら、新政権は今後2年間で7000億〜1兆4000億ドルと推測されるエネルギー消費を厳しく見直さなければならない。
2年で輸入石油への依存から完全に脱却するのは不可能だが、半年ごとに削減目標を設定することはできる。削減目標を達成する道はただ一つ----商用車の燃料をガソリンやディーゼルから天然ガスに切り替えることだ。
石油の採掘量を増やしても輸入は減らない。簡単に取れる国内の油田はすでに採掘されている。アメリカのエネルギー需要は1日当たり平均2100万バレルだから、アラスカや沖合に残された油田を採掘しても焼け石に水だ。
一方、天然ガスは採掘・開発技術が進歩したおかげで、100年以上にわたって国内採掘分だけで供給をまかなえる。石油の自給率は下がっているが、北米大陸には豊富な天然ガスが眠っているのだ。
問題はいかに活用するかだ。国を挙げて輸入石油から天然ガスに切り替えるべきだと私が講演するたびに、まず質問されるのがインフラの整備だ。この国を走るおびただしい数の自動車に天然ガス燃料を供給するには、どのようなインフラが必要なのか。