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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
政敵「口撃」は今も昔も不変...だが昔はこんなに言い回しが「巧み」だった(パックン)
©2022 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<現在では「民主党は小児性愛の党!」というような、センスも信憑性もない中傷に「退化」してしまっている>
日本のけなし言葉は地味だ。バカ、あほ、おたんこなす、ぐらいだっけ? 人を罵るなら、英語がいい。「バカ」に当たる単語は50以上ある。ニューヨークの街を歩くと半日でそのほとんどを耳にするよ。
しかも、こだわりたいときはあり物ではなく、自ら新しく開発したけなし言葉も使える。そしてそれが高く評価される。だからアメリカでは人をこき下ろす言葉が絶賛進化中だ!
風刺画には、歴代の共和党政治家が生み出したけなし表現が登場する。まず、1970年にニクソン政権のスピロ・アグニュー副大統領はNattering nabobs of negativism(べらべらしゃべる悲観主義の成り金)と野党民主党を斬った。Nの音を3回並べた面白い響きの単語で「民主党は口先ばかりの、アメリカ否定派のエリート層だ」という典型的批判をうまくまとめた表現だ。パックン独自のけなしスコアで90点!
1994年、下院議長に就任間近のニュート・ギングリッチはクリントン大統領夫妻をcounterculture McGoverniks(カウンターカルチャーのマクガバン野郎)と罵倒した。発音が同じCとKを使い、60年代に急進的リベラルの象徴だったジョージ・マクガバン上院議員と、相手をさげすむ表現に使う~niksをくっつけた造語を用いている。テクニックは悪くないが、クリントンは中道派の政治家。現実から離れているため、60点!
そして今年、マージョリー・テイラー・グリーン(MTG)下院議員は民主党をa party of pedophiles(小児性愛党)と中傷した。MTGは陰謀論集団「Qアノン」による「民主党の重鎮は子供の買売春をしている」という荒唐無稽な陰謀説の信奉者だ。バイデン大統領が指名した最高裁判事ケタンジ・ブラウン・ジャクソンに対しても共和党は「児童に対する性犯罪者に甘い」と無根拠に主張。MTGはジャクソン支持派を「小児性愛推進派」と断言した。最低限Pの押韻はあるが、独創性のない言葉にデタラメな名誉毀損のため、けなしスコアは0点!
政治家は政敵を批判することもあるだろう。そのときは、けなし大国の代表としてせめてプライドを持ち、文言に磨きをかけたい。でも国のけなし文化は進化しているのに、共和党のは退化してんじゃないか! この......おたんこなす!
ポイント
THE EVOLUTION OF REPUBLICAN NAME-CALLING...
共和党によるけなしの進化過程
COUNTERCULTURE MCGOVERNIKS
1994年の中間選挙で共和党を大勝させ勢いに乗っていたギングリッチの発言。ホワイトハウス職員についても「カウンターカルチャー的」だと根拠を示さず糾弾した。