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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
米バイデン政権「コロナからの回復」のための法案に反対し続ける与党議員(パックン)
©2022 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<「より良い形でアメリカを再建」することを目指すバイデン大統領だが、そうはさせまいと与党・民主党のマンチン議員が立ちはだかる>
アメリカ人は新年を迎えるとき、New Year’s resolution(新年の決意)を決める伝統がある。5キロ減量する! 無駄遣いをやめる! 家族ともっと時間を過ごす! などが一般的だが、1年たっても達成できず、Keep last year’s resolutions! 去年の決意を守る! という場合も多い。
バイデン大統領が就任した昨年、アメリカは危篤状態に陥っていた。コロナ禍が経済や公衆衛生に甚大な被害をもたらしていた。共和党が各州で民主党支持者に投票させない「投票抑制策」に励んでいたし、各州での票の「再集計」によって大統領選の結果を覆そうとしてもいた。
しかも、そういった急性の病だけではない。長年そっちのけにされてきたインフラ、教育、移民、税制などの問題も限界に迫りつつあった。基礎疾患を複数患っている人がバスにひかれて、搬送先の病院が爆発したかのような不運の連発で、まさに瀕死状態だった。
そこでバイデンは決意した! defeat pandemic(パンデミックを克服する)! defend voting rights(投票権を守る)! save democracy(民主主義を救う)! build back better(アメリカをより良い形で再建する)! こうした目標を掲げて救命治療に取り掛かった。
しかし、そんな与党の思うとおりにいかせまいと立ちはだかったのは......同じく与党のジョー・マンチン上院議員。上院の100議席中、50議席しか握っておらず、完全に団結しないと何もできない民主党の中で、繰り返し反対票を投じ続けている。医療チームの1人が患者のチューブを抜き続けている感じだ。
「給付金社会」になるのを防ぐため?
特に目立ったのは昨年12月、1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障に関連したBuild Back Better法案へ反対を表明したことだろう。高齢者向けの公的医療保険制度(メディケア)の拡充への支持率は80%、幼児教育無償化への支持率は69%で、この法案の内容自体は国民に大人気だ。
だが、マンチンは「給付金社会」になってはいけないという理由で立法を阻止した。皮肉にも、マンチンの地元ウェストバージニア州は貧困層や高齢者が多く、住民の収入の3分の1ほどが政府の支給に頼っている全米1位の給付金社会だ。地元への治療も拒否っているということだ。
党をまとめられない。法案を通せない。野党が有利とされる中間選挙まで11カ月しか残っていない。そんなバイデンは去年の決意を守りようがなさそう。では、今年の決意は? Slap Joe Manchin!(ジョー・マンチンをひっぱたく!)
それで何かが治るわけでもないけど、きっと気持ちがいいんだろうね。
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