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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
わがまま放題のトランプの願いにイエス様は「ノー」(パックン)
Trump's Self-Charity Plan / (c)2021 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<クリスマスから年末年始は慈善行為や寄付の盛んな季節。トランプの「注目や愛情を強く欲する精神状態」は十分に救済対象と言えるけど...>
弱者救済を訴えたイエス様の誕生日を祝うクリスマスシーズンは、慈善行為や寄付をする季節として知られている。風刺画では、年末年始の活動で有名な4つのチャリティー団体にかこつけて、個人的な救済を乞うトランプを描いている。
シーズン中、Salvation Army(救世軍)のボランティアは街角に立ち、鐘を鳴らしながら寄付を募る。Help the needy(貧困な人を助けよう)と、普段から呼び掛けているが、実は needy には、注目や愛情を強く欲する精神状態を指す意味もあるので、トランプにも十分適用される。
Toys for Tots(訳:子供のためにおもちゃを)は恵まれない子供に本やおもちゃを提供する団体。トランプは I want the nuclear football! と、核兵器発射に必要なブリーフケース(通称「核のフットボール」)が欲しいとダダをこねている。トランプは実は年始までこの「おもちゃ」を持っているが、正月過ぎあたりでジョー・バイデン次期大統領の手に渡される。
Feed the Children(訳:子供たちに食べ物を)は、子供のために食料を支援する組織。ここでトランプは My children, to be specific「正確に言うと、俺の子供に」と、補足している。超億万長者のトランプ一族はお食事券とか、絶対に要らないのに。汚職事件だって、有り余っているぐらいだ。
Make-A-Wish(訳:願い事をする)は重病を患う子供の願いを叶える団体。「消防士になる」とか「憧れのスポーツ選手に会う」などの願いが普通だが、トランプは I wish the Supreme Court would declare me the winner(どうか最高裁が自分を勝者と決定しますように)と、選挙結果を覆したがっている。
不思議なことに、これらの要求のうち2つは叶いそうだ。「不正選挙にあらがうため」に寄付を募ったら、なんと2億ドル以上が集まった。法廷闘争などに使う費用はごく一部とみられ、それ以外はほぼ自由に使える。「顧問料」としてトランプ本人や子供たちに配ることも可能。メリークリスマス!
しかし、残り2つの希望は叶わないようだ。大金をかけて50以上の裁判を起こしたが、とことん敗訴している。核兵器の発射装置も、大統領の座も戻ってこない。最高裁判事9人中3人がトランプに指名されたのに、彼の願いを聞いてくれない。いくらクリスマスとはいえ、そんなプレゼントはもらえない。たぶんイエスに聞いても答えはノーだろう。
【ポイント】
GIVE TO YOUR FAVORITE TRUMP CHARITY THIS HOLIDAY SEASON
この年末年始はお気に入りのトランプ・チャリティーに寄付を
<本誌2021年1月12日号掲載>